女性活躍推進の一環として、多くの企業が女性管理職登用を目指しています。研修の立て付けを相談される際、男性管理職とどこで合流したらいいのか、または、女性は女性で、管理職になった後も引き続き、研修やサポートは必要なのか。でもそれは、ある意味男女差別になるのではないか?このような話が出てきます。
私としては、女性管理職の割合が低い企業は、ある程度の男女バランスになるまで、女性管理職をサポートしていただけたらと思っています。具体的に、管理職になる前は勿論のこと、そのあとも定期的に女性管理職だけ集まるような機会を作っていただくことをおススメしています。
男性同士のネットワークは既にできていますし、男性ならではの集まり、会話はありますが、女性はその中に入っていきづらいこともあります。横つながりのネットワークがあることで、お互いに励ましあえたり、情報交換したり、悩みの共有ができます。
さて、私がお手伝いさせていただいているいくつかの企業では、以下のような流れで毎年研修を実施しています。すべての企業に当てはまるわけではないので、参考としていただけたら幸いです。
まず、●年度までに女性管理職の割合を〇%にするという目標を立てます。
数値目標に縛られるのはよくないということで、掲げていないところもありますが、多くの企業が掲げていると思います。数値目標を掲げる場合は、その数字に根拠があるかどうかが大事です。実は根性論だけで数字設定してしまったという失敗談もあります。
女性社員の数、毎年何名程度入社するか、退職者の数は?既に管理職に登用できるポテンシャルを持っている人は?教育などのきっかけがあれば、登用できそうな潜在的な人はいるのか?
まずこれらをリサーチする必要があります。数値を掲げない場合でも、毎年、管理職候補のための研修は、実施すべきです。いずれいい人が出てきたら実施すればいいという考えで、今まで通りに過ごしていては、いい人材も出てこないものです。ですから、きっかけづくりは、必要です。
そして次に、管理職候補となる女性たちを決めるのですが、この際の決め方は、人事かあるいは、現場からの推薦選抜になります。ただ、この推薦もなんとなく頑張っているからではなく、ある程度の条件を決めておくことが必要となるでしょう。そうでないと、なんであの人だけ?と不公平感が出てしまうからです。特に女性の場合、公平性のある会社かどうかがモチベーションに影響します。少しでも不平等さを感じ、納得感が得られないと感じると、モチベーションダウンしてしまうのです。
そして、いよいよ研修に入ります。ここでは必ず、なぜ、あなた方は集められたのか、対象になったのかを改めてトップ層から説明する必要があります。会社によっては、社長が出てくるケースもあります。説明を受けることで、対象となる女性たちは、こんな不安や不満が払しょくされます。
「なんで女性だけ?それこそ不平等ではないか?」「詳しい説明のないまま、忙しいのに2日も拘束されて‼!」「管理職なんてやりたくないのに」
説明の際、大事なのは、無理やり目指させないことかもしれません。そのため、私が関わらせていただいている女性管理職登用研修では、最初に「キャリア研修」を実施します。自分のキャリアの一つの選択肢として、リーダーになるということも考えてみましょう。会社はあなたたちに、リーダーとしての活躍を期待しています。しかし、最終的には、リーダーを担うのか、或いは、他の形で会社に貢献するかの答えは、自分で出していただけたら良いと思う。こういったニュアンスで実施します。
この、キャリア研修の後、人事や上司との面談を行っていただくこともあります。そして、その後、相談しながら、日々の仕事をリーダーとしての意識でやっていただき、最終的な本人の答えと、人事や上司からの評価の両方を合わせて、管理職登用の可否を決めます。もちろん、やりたくないわけではないが、今は家庭の事情があって難しいという答えを出す方もいらっしゃいます。その場合は、来期に再検討ということになるわけです。
このように、丁寧にサポートしていくことが大事です。繰り返しになりますが、まだまだ女性管理職が少ない会社では、マイノリティとして、うまく泳いで行っていただくためにも、最初に気持ちを固める必要があるからです。そのベースができてから、新任管理職研修を実施するという流れです。新任管理職研修では、まさに泳ぎ方を教えます。
さて、その泳ぎ方については、次回ご紹介したいと思います。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
個人と企業からの依頼によるキャリアカウンセリングは、延べ17,000人以上の実績。学生からシニア層まで年齢や性別を問わず、自分らしいキャリアデザインをするための選択とアクションに向けたカウンセリングを…
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