最近、企業からのご依頼で着々と増えているのが、女性管理職対象の研修や講演です。その背景に、国際社会や日本政府の動きがあります。
2009年に国連女子差別撤廃委員会から政治分野、雇用の分野について女性の参画促進のための暫定的な特別措置促進が勧告されました。しかし日本は今年7月25日に厚生労働省が発表した2011年度の雇用均等基本調査によると一般企業で管理職に占める女性の割合は8.7%。世界から”日本は女性の登用の進まない国”と見られています。上記の結果を受け、日本政府は「2015年までに課長以上の管理職に占める女性の割合を10%以上とする」という数値目標を新たに設定し、2010年末に閣議決定された第3次男女共同参画基本計画にも明示しました。
この目標達成を目指し、国内企業における女性管理職の登用についても、取り組みの強化、加速が進んでいるように感じます。「女性管理職の比率を上げるように」といった課題がトップから人事やダイバシティーの担当者に降りてきているようです。
しかし、なかなか前に進まない理由がいくつかあるのを感じます。その中の根底ともいえる1つを挙げてみると・・・「男女の特徴、違いに目を向けていない」ことだと、私は考えています。ダイバシティーの本来の意味は「多様性社会」。社会で多様性が進むなか、これまで男性社会で行われてきたトップダウンが通用しなくなるのも当然です。
多様性の時代にもっとも大事なことは、個人や男女の違い・特徴をしっかりと理解し、それを生かせる組織のしくみを根底から考え直すことです。具体的な”違い”とは、人それぞれの価値観、やりがい、働く意味、強みであり、大きく分けると男女の違いですが、残念なことに、多くの企業が女性の声に耳を傾けようとしていません。そのために、男性たちが女性が働きやすいよう工夫し、よかれと思ってやったことがすべて裏目に出てしまうという状況をよく目の当たりにします。先日、ある研修でグループワークしている女性たちの間に入って、話を聞いてみたのですが、彼女たちはこんなことを言っていました。
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「男性たちの気遣いは感じるけれど、
男性は”女性はこういうものだ”と決めてくる。
実際はそうじゃない、違うんですって言っても、
ちゃんと理解しようとしてくれない」。
「男女に違いがあるのに、それを言うと上司は嫌悪感をあらわにする。
男女に違いはない!って。時代錯誤もいいところ。
今は、脳の研究がこれだけ進んで、
男女の違いが科学的にも検証されているのに…」。
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男性たちは、知識的に男女の違いを理解することはできても、”自分が今まで信じてきたものを変えたくない”、”変わりたくない”という意識がそれを遮っている。私はよく、現場でそれを感じます。
また、男女の特徴(強みや、やりがい)をきちんと組織が把握できていれば、配置、配属も戦略的に行えるはずです。
先日ある企業が「これからは女性も総合職として活躍してほしい」と男性主体の職場に女性を増員したものの、うまく行かなくて困っている、との相談を受けました。この企業は「これから男女の割合を6:4にしたい」とお考えのようなのですが、私は”もしかすると、この職場は「男社会」で回した方がよい業態かもしれない”とも感じました。
というのも、業態によっては男性だけ、女性だけで回した方がうまくいく仕事もあるからです。無理に人数合わせをするのではなく、それぞれの強みややりがいなど、特徴を理解した上で適材適所を検討する大切さを忘れてしまっている企業も多いのではないでしょうか。
適材適所を成功させるためには、まず「この会社、仕事・ポジションで必要となるスキルは?」のなど企業や職場の方向性を明確にし、それに合う人をアサインすることが大切です。男女・国籍などを問わず、検討するのです。
男女や国籍に関係なく人材をアサインしたら、それぞれに同じ水準の教育を施すことも非常に大事です。平等に教育を施した上で、それぞれの特徴をどう生かすかを検討する必要があるのではないでしょうか。
同じ教育を受ける機会がある、ということは同じ土俵に立つということ。女性の意識を高め、能力を引き出す鍵は男女平等な教育にもあることを忘れないで頂きたいと思います。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
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