前回、女性から「ブレやすい」「つい感情的になってしまう」「気分によってパフォーマンスが変化してしまう」といったキャリア相談が多いというお話をさせていただきましたが、それは「自分の軸」、つまり「ビジョン」や「将来どうしたいのか」が決まっていないことが理由であるとお伝えしました。もうひとつ、女性の感情に大きく影響を与えているものには、女性ならではの特徴である「共感脳、感情脳」がありますが、今回はそれについて書かせていただきます。
脳の研究が進んでいる昨今、男女では脳の特徴に違いがあることは周知の事実ですが、大きな違いとして、男性は「システム脳」、女性は「共感脳、感情脳」であるそうです。その特徴の違いとして、システム脳は図形認識や空間認識能力が高く、物事を論理的にひとつのシステムとして考えることに長けています。一方、共感脳、感情脳は、人の気持ちを読み、理解し、我が事のように感じることに長けています。また、まるで連想ゲームのように、様々なこと(出来事や気持ち)を関連づけて答えを出していく、といった特徴も持っています。
女性同士の会話は、感情キーワードが非常に多いのを感じます。一方、男性は事実やデータなど情報に基づいた言葉が多い!私はミーティングの場面で、相手に合わせて意識的に言葉を選ぶようにしているのですが、男女混合が一番難しいと感じます。
さて、そんな異なった特徴があり、共感脳、感情脳を持った女性は、男性に比べると人生で3割、悲しみを感じる時間が多いと言われています。その理由はもうお分かりかと思いますが、自分自身の感情にも引きずられますが、周囲の感情にも同じように引きずられ、まるで自分にその出来事が起こったように、共感しすぎて落ち込んでしまうのです。
これは強みとも言えます。というのも、人間は男性でも、お互い影響し合って社会を作り上げていきます。女性は感情が動けば、チームのため、相手のために協力したいと熱心になり、成果を出します。現在、私はEQトレーナーとして感情の使い方について指導をしているのですが、女性は感情面でよい影響を得ると、あっという間に成長します。女性にとって感情は大事であり、一方で課題でもあります。
共感脳、感情脳の特徴を知れば、つい感情的になってしまう女性が多いのも納得できるのではないでしょうか。そこで女性が感情に流されない、支配されない、ブレないで、自身をコントロールするためには、時には気持ちの切り分けを意識的にする必要があります。
例えば、隣りの同僚が上司に怒られていたとします。自分が怒られたわけではないのに影響を受けてしまう人は、我がことのように落ち込みます。ここで大事なことは、共感すること自体悪くはありませんが、「その出来事のとらえ方を少し引いてみる」ということです。「隣の同僚がかわいそう。でも、これは自分に起こった出来事ではない。」という風に。
また中には、ちょっと注意されたことも「怒られた。私自身が否定された。」と、これまた大きく凹んでしまう人がいます。「気にすることないよ」と言われても、なかなか復活できない人もいます。これは、自分の一つの行動を注意されたのに、自分という存在そのものがすべて否定されたと思い込んでしまう例です。
システム脳が強い方には、論理的に考えれば簡単にわかることだと思いますが、思った以上に過敏に反応する人は多いのです。これもやはり、切り分けて考えてみることが大事です。「私は○○について注意された。どの行動がよくなかったのか、行動について考えてみよう。」という風に。
感情をきちんと理解して使うこと、そして共感脳、感情脳の特徴を知識として知っておくことで、落ち込むことがあったとしても、気持ちが上がってくるまでの時間が短縮されるはずです。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
個人と企業からの依頼によるキャリアカウンセリングは、延べ17,000人以上の実績。学生からシニア層まで年齢や性別を問わず、自分らしいキャリアデザインをするための選択とアクションに向けたカウンセリングを…
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