日々、女性のキャリア相談を受けていますが、やはり多いのは、「人間関係」に関するご相談です。キャリア相談の仕事は20年以上続けていますが、「最近の風潮を表しているな」と思う人間関係の相談が、「私はもっと頑張りたいのに、もっと売り上げに貢献したいと言っても『後ろで支えなさい』と言われてしまった。上司の頭の中には『女性はサポートをするのが役目』と固定観念があるみたいなんです。」といったお悩みです。これは特に、大手や30年以上続く組織に多く、上司の特徴は40代半ば~50代。
一昔前なら、女性自身も「私は前に出て仕事をする分際ではない。アシスタントとして営業を支えるのが役目」と思っていたのではないでしょうか。実際、私自身も、最初の職場はメーカーで、女性はアシスタントとして男性を支えるものと思い込んで、それ以上の仕事に手を出そうとしませんでした。そして当時は、その役割分担でうまく回っていました。
女性活躍推進の企業研修を実施すると、トップは「これからは垣根を越えて女性にも活躍してほしい。天井を作らないで頑張って。結婚出産後も、成長しながら活躍し続けてほしい」といったメッセージを出されます。それに基づいて、講師である私も天井を作らずに仕事をするための研修を行うのですが、研修終了後、女性がやる気になって現場に戻り、上司である中間管理職と面談すると、「いいよ、そこまでやらなくても、と言われてしまった。どうしたらいいの?」と悩む女性が出ています。
経営の考え方としては「女性にもっと活躍してほしい」といったように、人的資産の活用を考えています。そして女性本人も、もっと頑張りたいと思っています。しかし、やはり意識が変わりづらいのが中間管理職です。
先日も研修後にひとりの女性が相談に見えました。せっかくやる気になって、あれこれ提案したのに、上司に「まずは目の前の仕事をちゃんとやってくれたらいいからね」と軽く流されてしまったようです。
私は彼女と一緒に働いたことはありませんが、3回に渡る研修を通して感じたのは、グループワークも積極的に参加し、周囲の意見もきちんと聞き、尊重できる、主体的に考える能力の高い女性だということです。
成長すればするほど行き詰まりを感じてしまう、という状態です。
一方、同じ研修の中に、もうひとり目立って優秀な女性がいました。彼女はイキイキと能力を発揮し、自部署での提案も形になって、業績に貢献していました。3回目の研修でお会いしたときには、最初に立てたアクションプランをしっかり形にして、成果を出せていたのです。
なぜ形にできたのか聞いてみたら、「上司にもアドバイスをもらいつつ、自分で考えて実施してみたら、色々気づきもあったし、更に工夫を重ねたら成果につながった」と言っていました。そして何よりもよかったのが、上司が彼女の自主性を尊重し、「やってみてダメだったら一緒に考えよう、好きにやっていいから」と言ってくれたんだそうです。そこで安心して上司に相談しながらやってみたところ、うまく成果が出たんだ、と。
まだまだ日本は男性社会です。どうしても上司がチームのフォーメーションを考える時、男性主役で考えがち。そしてつい、女性をサポート側に徹する配置にしやすい方も。男女でわけず、強み、弱み、得意分野をフラットに洗い出し、改めてフォーメーションを考えてみるとよいのではないでしょうか。女性は男性上司が思っているよりも力を持っていて、それが発揮できていないだけですから。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
個人と企業からの依頼によるキャリアカウンセリングは、延べ17,000人以上の実績。学生からシニア層まで年齢や性別を問わず、自分らしいキャリアデザインをするための選択とアクションに向けたカウンセリングを…
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