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2022年03月25日

企業が社員のキャリア自律をサポートするメリット(前編)

よく聞くキャリアサポートのお悩み

社員のキャリア自律をどのようにするか、各企業が悩むところです。もしくは、するかしないか、で悩んでいる企業もあるのではないでしょうか。

これは、人事担当者からよく聞く声ですが、「予算が取りづらい」という点。担当者は、キャリア理論や今だからこそ会社が実施する必要性を実感されているものの、狙いと効果測定がしづらくいまいち上に対して実施するべき、予算を取るべき、と説得しきれない、といった本音が出てきます。

過去の時代は、キャリア自律なんて言葉はありませんでした。乱暴な言い方をすると、「会社の異動や転勤を繰り返すうちにいつの間にかキャリアアップできるもの」「目の前のミッションを必死にやっていけば、将来につながるもの」こんな風に考えている時代でした。つまり、(更に乱暴な言い方ですが・・・)社員に考えさせないようにする風潮がありました。もちろん、その考えは完全否定できるものではなく、今でも通じる大事なことでもあり、プランドハップンスタンス理論でいう、偶発性キャリアです。キャリアの80%程度は予期しない偶然の出来事で作られている。だから、偶然の出来事をチャンスとして捉え、前向きにチャレンジしよう、という点です。しかし、今を積み上げ、流されていけばよいというわけにはいかないのが、今の時代です。

自律的に活躍するビジネスパーソンは、キャリアアンカーと言われる、ある程度の軸を持っています。例えば、自分はどの方向に進みたい、であったり、どうありたいか、です。

イノベーションを起こすためのダイバーシティ(多様性)推進

さて、話は戻りますが、社員のキャリア自律サポートは必要ない、と思っている決裁者に対し、どうしたら必要性を理解してくれるか、というと、社員のキャリアサポートは、会社のメリットに繋がっていることを伝えていただくことです。
そのヒントになるのが、ダイバーシティ(多様性)推進です。

実は、多くの企業が課題意識を持っている多様性に繋がるのです。画一的な社員ばかりの組織は、判断や行動のスピードがあります。そのため、急成長のフェーズでは、社員が画一的であることは、組織のメリットでした。同じ価値観、同じモノの見方考え方、解決策のアイデアも似ています。だから、「余計な」議論をすることなく、スピーディに何も疑わずに行動することができます。

しかし、今や正解のわからない時代で、組織はいかに、今までにないもの「イノベーション」を起こせるかどうか、が課題になっています。イノベーションは、異種交配によって生まれます。それは画一的組織では起こしづらいため、組織は多様な人材が必要になっているわけです。多様な人がいることで、違う価値観、違うモノの見方考え方、今まで気づけなかった問題を発見できます。

多様性をもつ組織になるためのキャリア教育

そこで必要なのが、キャリア教育です。画一的な人が集まる組織では、ロールモデルがたくさんいます(それが正解かはわかりませんが)しかし、マイノリティの人からよく上がってくる悩みは、ロールモデルがいない、ということです。そのために、不安がつきまとい、全力を出し切ることができなくなります。多様な人達それぞれが、自己理解し、ビジョンを考える機会を設けることで、軸がみつかり、不安なく全力で活躍することができます。

折角多様な人を採用したのに、いつの間にか画一的になっていくのはもったいないことです。軸がある=主体性です。キャリア教育は、多様な社員が安心して活躍しつづけ、組織にイノベーションを起こすために欠かせない方策です。

しかし、本人だけがキャリア教育を受ければ解決するわけではありません。それだけですと、退職者が出てきます。組織が社員のキャリア教育に対して不安になるのが、ここです。そう、「社員にキャリア研修を受けさせたら、辞めてしまうのではないか」です。主体性を育てるだけでなく、そんな彼らを受容し、育てたり、機会を提供する場を作ることが伴っていなければ、特に優秀な人材は辞めていくでしょう。そこでもう一方の課題は、上司です。これからの管理職に必要なスキルは、「多様なメンバーの評価ができること」「キャリア面談で本人の将来を一緒に考えられること」です。ではどうしたらよいのでしょうか。

次回は、キャリア支援における上司の課題に触れたいと思います。

藤井佐和子

藤井佐和子

藤井佐和子ふじいさわこ

キャリアアドバイザー

個人と企業からの依頼によるキャリアカウンセリングは、延べ17,000人以上の実績。学生からシニア層まで年齢や性別を問わず、自分らしいキャリアデザインをするための選択とアクションに向けたカウンセリングを…

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