前回は、産休育休時短制度を利用する女性本人の悩みについて取り上げさせていただきましたが、今回は「制度利用中の女性がいるチームをどう率いるか」を中心に、管理職側の課題について考えてみたいと思います。
最近増えている管理職の悩みは、現実になってきています。2-3年ほど前に多かった悩みは
「女性部下が目に見えて増えている。どのように関わったらいいのかわからない。」
という関わり方に関するものでした。しかしその後、
「女性部下がますます増えて、育児休暇から復帰する人を抱えている。」
という悩みになり、今では
「チームの中に時間短縮で働く女性がいて、それ以外の女性たちとの仕事の割振りに悩んでいる。」
といった更に深刻な悩みに変わってきています。
皆さんにお伺いすると、ステップの一つ目から手を付けていない方も少なくありません!つまり、自分の部下に女性が定着し、どのように関わったらいいのかわからないまま関係性を放置していたら、ついにライフイベントに突入!しかも、1人ではなく、2人3人と続き、更には第2子に対する産休育休の人も出てきて・・・。ますます増えていく女性メンバーは事情が様々で、「産休中」「時短で復帰」「第2子を妊娠中」「独身」「結婚していて、そろそろ子どもを考える年齢」とバラエティに富んでいます。
研修では、管理職の皆様に女性部下の状況の「今と3年後」を想定していただくのですが、「これは大変だ!どうしたらいいんだ!人事ももう少し振り分けて配置してほしい」との切実な叫びが聞こえてきます。
更に具体的な悩みとして度々上がってくるのが、「そんなバラエティに富んだ女性たちを、一つのチームとしてまとめていくにはどうしたらよいのか」というご相談です。
特に忙しい職場では、産休育休時短制度利用者の仕事が、独身者やお子さんのいない人に振り分けられます。そんな時、チームの女性たちに絶対に言ってはいけない言葉は、「君たち、悪いが頑張ってくれ。いずれ君たちも同じような状況になった時、誰かに助けてもらうことになるんだから。お互い様だ。」です。女性であればわかると思いますが、子どもの有無は女性にとってデリケートな問題です。子どもが欲しくてもできずに、不妊治療で悩んでいる女性はたくさんいます。会社で大っぴらに事情を言わず(言えず)、治療している人もいます。それはそれは辛い治療を。
そんな様々な事情を抱える女性たちに平等な施策を、上司がトップダウンで降ろそうとしても無理が生じます。先日、ある男性管理職の方が「そうは言っても、時短の女性はその分お給料が安いんだから、それ以外の人には納得してもらわないと」とおっしゃっていました。確かにそうなのですが、女性にとっては「それは私たちには関係ないでしょう」と思う人もいるのです。
「いよいよどうしたらいいのかわからない!」と思われるでしょうが、最もよい方法は簡単です。みんなで考えること、です。
つい上司は、「責任者として自分が何とか調整しなくては。ベストな方法を考えなくては。」と思いがちです。そして多くの上司は、部下の意見を聞かずに自分がよかれと思った方法を実施しようとします。
または、その時だけ、と思ってその場しのぎの対応をしてしまいます。しかし、次から次に時短利用者が出てきて、収集が付かなくなっている上司はたくさんいらっしゃいます。
これはもう上司だけの問題ではなく、チーム全体の問題です。本人たちが最も納得できる方法を自分たちで考えさせること、そしてその話し合いのオブザーブとして調整役に入ることが上司の役割なのです。
自分たちで上げた意見であれば、完全なる平等でなくても納得感があります。一度、目をそむけず、女性たちを集めて話し合いをしてみてはいかがでしょうか。放っておくとますます悩みは深くなるばかりです。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
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