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2022年12月26日

キャリア自律~切り拓き方

前回「キャリア自律」という言葉とそれを実現するための課題を取り上げさせていただきました。ちなみにキャリア自律とは、「個人がキャリアについて自分なりの考えを持ち、自身の力でキャリアを切り拓くこと」と定義されます。前回は自分なりの考えを持ち、とはビジョンの考え方についてお伝えしましたが、今回は、「切り拓く」についてです。切り拓く、というとなんだか、大変なことのように聞こえますよね。ちなみに切り拓く、を辞書で調べてみたところ、「木を切り倒したり、山を切り崩し、田畑や宅地、道など開拓すること」という意味のほかに、「この先が明るい展望のある状態にする」という意味があるそうです。キャリア自律の観点から考えると、まさに後者の意味ではないでしょうか。この先が明るい展望のある状態にすることが切り拓く、の意味であるとしたら、ひとりで頑張るだけでなく、方法は様々あるはずです。

私はキャリア自律に関する講演や研修で、必ず最初にお伝えするのが、「キャリアはひとりでは創れない」ということです。過去を振り返ってみたら、私たちの今は、一人では創ってこれなかったのではないでしょうか。例えば、たまたまいい上司に巡り合えた、いい会社に入れた、いい部署に異動になった、いいお客様や同僚に出会えた、などなど。様々な出会いが私たちの今を創っています。つまり、キャリアは環境次第なのです。「たまたま」と書かせていただきましたが、偶然の出会いがラッキーだった、ということもあれば、残念な出来事や人に出会ってしまうこともあります。例えば、意図しない部署に異動させられた、入社したら面接時に聞いていたような職場環境ではなかった、高圧的な上司の元に配属された、などなど。言い出したらきりがないくらいに、残念な環境に陥ったご経験もあるのではないでしょうか。

しかし、それを環境のせいにすることはできません。(環境のせいにしてはいけない、という意味ではありません)さて、そこで出てくるのが「切り拓く」というワードです。この先が明るい展望のある状態にするために、自分にとってマイナスの環境の時に、何をするのか、がまさに切り拓くことになります。

それは時と場合によっても、手段は違うことでしょう。例えば、あと1年は我慢の時、と動かない切り拓き方もあります。一方で、動く切り拓き方もあります。転職する、異動する、などです。でも、案外忘れているのが、切り拓くために「周囲を頼る」ということです。つい、抱え込んでしまう、自己完結型の人は、環境を自分にとっていい状態にするために、人、という資源をうまく活用していただくことを忘れないでいただきたいと思います。

講演や研修でワークシートに書き込んでいただくもので人脈シートというものがあり、社内の人脈を書き出してもらうのです。そこに書かれた人たちは、すべて自分にとっての人的資源です。相談ができ、助けて、と言えばサポートしてくれる人たちが身近にたくさんいることに気づけます。それを自分が活用していないだけ。例えば、身近な上司も忙しそうだから、と相談できずにいる人も少なくないでしょう。以前、ある受講者が、忙しそうだと思って相談しないでいたが、勇気を出して「ちょっと相談があるので、どこかでお時間をください」とメールをしたら、すぐに対応してくれ、自分のキャリアにとっていいアドバイスと機会をくれた、というお話をされていました。切り拓くためには、自分から動くことが大切です。たまたまあちらから手を差し伸べてくれるチャンスを待つだけでなく、自分から働きかけることで、実は様々なチャンスが拓けてきます。

余談ですが、以前私が会社員だったとき、チャレンジしてみたい仕事があったので、上司に相談したところ、任せてくれることになりました。すると、周囲の同僚たちから「藤井さんだけずるい」と声が上がったことがあるのです。私だけでなく、本当はみんなもやりたかったんだ、ということに驚くと同時に、なぜ同僚たちはやりたいのに声を上げなかったの?と不思議に思いました。

実は多くの人が思っているだけで、周囲に相談したり、訴えたりしていないのです。もしかすると、これは日本人特有の平等性かもしれません。自分だけ上の人に相談するのはよくない、などでしょうか。でも、そんなルールはありません。切り拓くためにも勇気を持って相談してみることをお勧めいたします。

藤井佐和子

藤井佐和子

藤井佐和子ふじいさわこ

キャリアアドバイザー

個人と企業からの依頼によるキャリアカウンセリングは、延べ17,000人以上の実績。学生からシニア層まで年齢や性別を問わず、自分らしいキャリアデザインをするための選択とアクションに向けたカウンセリングを…

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