管理職向け研修や講演では、部下育成指導に役立てていただけるよう、男女の脳差から関わり方のヒント、やりがいの違い、キャリアの積み方、優先順位などを説明します。比較的、男性が得意とし、その強みを活かしてパフォーマンスを発揮する特徴的な素養は「優先順位づけ」「全体俯瞰した上での判断力」「論理性」など。一方、女性が得意とし、その強みを活かしてパフォーマンスを発揮するものは、「共感・受容力」「公平な態度」などです。
そんな話を講演ですると、度々質問を受けるのは、「そうすると、やはり女性には管理職は向かないですよね。」というものです。そうおっしゃる理由としては、「経営的判断とか、みんなを説得して引っ張る力がない」から。確かに、男性の強みとして挙げました素養には、強いリーダーをイメージさせるキーワードが並んでいますが、一方で女性側の強みには、引っ張る強さはうかがえません。
しかし、この「共感・受容力」と「公平な態度」を活かしてリーダーとなっている女性は、実際に多数存在しています。また、男性でもこの二つの素養を活かして活躍されている方もいるのではないでしょうか。
「共感・受容力」と「公平な態度」について、もう少し詳しく紹介します。
「共感・受容力」
・周囲の気持ちを受け止める
・周囲の気持ちに働きかける
・相手の今の状態に共感する
・人の気持ちを読める
これらを発揮するとどんな効果があるのか、というと、
—————————-
人の気持ちに寄り添う姿勢を発揮し、正しい影響力を持っている人であれば、相手によい影響も与えながら巻き込むことが可能。また、「気持ちを受け止めてもらえた」と感じた周囲の人は、心を許し、協力的になったり、情報を開示してくれる。また、周囲の動機づけも可能。
—————————-
「公平な態度」
・全体の平等、公平を意識した判断、行動
・誰に対しても対等にやりとりする
・贔屓したり、上下関係で動かない
・社会やお客様にとって正しいことをしようとする
これらを発揮すると・・・
—————————-
誰に対しても正しい人であることが、信頼につながる。また、誰にとっても正しいことを常に発信し続けることで、軸がぶれない、安心できる人、と思われる。損得で仕事をしないため、協力者、味方が増える。
—————————-
このような人は、十分リーダーとしての素質を持っています。男性的にぐいぐいと引っ張るリーダーではなく、いつの間にか周囲が協力してくれ、成果を出すスタイルです。
さて、私は研修で、EQというツールを用いることがあります。EQは、IQの頭のよさ、知能指数・偏差値の高さではなく、感情能力のこと。自分の感情を使い、周囲の感情にも働きかけ、よい影響を与え、動機づけをし、成果につなげていくことができる人を「EQスキルが高い」と言います。
実際アメリカでは、フォーチュン誌が行っている年間ベスト500社のうち、約80%が何らかの形でEQを指標にしたり、このトレーニングを採用したりしているそうです。
最初の質問に戻りますが、「優先順位づけ」「全体俯瞰した上での判断力」「論理性」という男性的スキルを活かしてリーダーシップをとる人もいますが、女性がやりやすい形は、共感力、EQ力を使って周囲をうまく巻き込む、動機づけるリーダースタイルかもしれません。もちろん、共感力だけではリーダーとしては不完全だと思うことがあります。その場合、足りないのは、経験、経営的視点のケースが多いです。というのも、女性は今まで、男性よりも経験を積むチャンスが少なかったり、役割として、サポート役に回ることが多かったため、視野が狭いケースもあります。
これらをきちんと学びながら、女性ならではのやり方でリーダーとして活躍することは、いくらでもできるのではないでしょうか。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
個人と企業からの依頼によるキャリアカウンセリングは、延べ17,000人以上の実績。学生からシニア層まで年齢や性別を問わず、自分らしいキャリアデザインをするための選択とアクションに向けたカウンセリングを…
ビジネス|人気記事 TOP5
女性に下駄を履かせるとは?~女性活躍推進の現状~
藤井佐和子のコラム 「企業・個人を豊かにするキャリアデザインの考え方」
高齢者が病院に行きすぎてしまう理由
川口雅裕のコラム 「人が育つ会社、育たない会社」
逆境を乗り越えよう
宗次徳二のコラム 「宗次流 独断と偏見の経営哲学」
デジタル化とは何か? そのメリット、デメリットと具体的な事例
久原健司のコラム 「IoT・AIで地方の問題を解決する」
社会で自律的に活躍するために必要な「自己肯定感」
藤井佐和子のコラム 「企業・個人を豊かにするキャリアデザインの考え方」
講演・セミナーの
ご相談は無料です。
業界21年、実績3万件の中で蓄積してきた
講演会のノウハウを丁寧にご案内いたします。
趣旨・目的、聴講対象者、希望講師や
講師のイメージなど、
お決まりの範囲で構いませんので、
お気軽にご連絡ください。