女子大生向けのキャリアセミナーを開催する際、度々質問されることは、「一般職と総合職の違い」です。違いをどのように理解しているのか、逆に質問してみると、学生たちは「一般職のほうが、ワークライフバランスを考えたら働き続けられそう」との答えが返ってきます。男女ともに、若者ほどワークライフバランスを意識した働き方が重要視されているようです。
また、社会人1年生が入社してくる4月、新入社員研修が各企業で行われており、その中で女性に向けて、これからの働き方を講義させていただくことも多いのですが、グループワークから聞こえてくる声は、「結婚」「出産」に関する不安の声。特に一般職向けの講演では、その声が更に高くなります。
少し状況をまとめてみますと、
・若者は男女ともに、働き方を選択する際、ワークライフバランスがキーワードになる
・特に一般職を選ぶ女性は、「結婚出産後も働き続けることを考えた時にメリットがあるから」と一般職を理解し、選択している人が多い
ということです。
特に後者に関しては、学生も新入社員も、実は一般職の役割や仕事内容をよく理解しないまま選択している人が多い、というのが実態です。
私自身の話になりますが、バブル世代の後半に社会人になったのですが、特に女性のキャリアは長期的、一生ものとして、考えられていませんでした。それは、社会も会社も、働く女性自身も、です。20代半ば~後半に結婚し、寿退職、その後、出産し、専業主婦になる、というレールがありました。そのため、まさに仕事は腰掛け。一般職として就職することに何の疑問も抱いていないばかりか、どんな仕事をするのかなんて、あまり意識せず入社しました。
しかし、いざ仕事をはじめてみると、目の前の仕事が思っていたのと違った、と感じたのです。いえ、仕事内容なんて想像もしていなかったので、思っていたのと違う、という表現も間違っているかもしれません。やりがいや期待されていることなど意識せずに選択した、と言ったほうがよいかもしれません。疑問を持たず、一般職として働き始めた女性たちの中には、一般職の役割が天職の人もいる一方、実は向いていないのに「女性だから」といった理由だけでスタートした人もいます。私は後者でした。
さて、話は戻りますが、いま一般職として就職し、仕事がスタートする人の中には、仕事内容、自分に向いているか、自分にとってやりがいを感じられるかなど、考えていないまま配属される人もいることと思います。現にキャリア相談の中には、「一般職で就職したものの、ずっとしっくりこなくて、総合職を選べばよかった。しかし、総合職として今更ついていける自信はない」と、どっちつかずで悩んでいる女性も多数いらっしゃいます。自身の方向性の修正は途中途中でできますが、可能であればスタート地点から、将来どうなりたいのかを明確にし、そのための選択ができるとよいのではないでしょうか。
正しい選択のために足りないことは、情報です。一般職を選択する人の多くが、働き方、両立しやすいのではないか、といったメリットを感じている人が多い中、もう一方で、どのような仕事なのか、自分に向いているのか、また一般職でのキャリアアップはどうなるのか、キャリアアップの仕方は自分の望む未来なのか、を理解して選ぶことは、仕事を続けるうえで同じくらい大事です。
そこで本人たちに、就活の際、正しく情報収集をしたり、自身のキャリアデザインを考えてみる必要性を説くようにしていますが、企業側からも一般職の仕事内容、期待する役割をもっと明確に情報提供していただく必要性を感じます。
先日、学生向けの合同説明会にて、自社の一般職について採用担当者がマイクを通して説明している姿を見かけました。残念なことに、その中身は仕事内容ではなく、福利厚生、働きやすさ、などが中心でした。女性の採用に積極的なのは大事ですが、もっと仕事について触れていただきたい、と感じた出来事でした。
お互いのミスマッチを防ぐためにも、必要な情報提供ではないかと感じています。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
個人と企業からの依頼によるキャリアカウンセリングは、延べ17,000人以上の実績。学生からシニア層まで年齢や性別を問わず、自分らしいキャリアデザインをするための選択とアクションに向けたカウンセリングを…
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