女性活躍推進に関する研修では、「感情マネジメント」「感情コントロール」についての課題が度々上がってきます。女性本人も、自分の感情との付き合い方に悩んでいますし、男性側もその女性たちの感情に振り回される、と悩んでいます。例えば、こんな内容です。
<男性側から>
「女性部下の機嫌が悪い。ものを頼むのも気を遣う」
「急ぎの仕事を頼むと、『今忙しいんですけど。今じゃなきゃダメなんですか?』と怒った顔で言われる」
「私情を持ち込む。人の好き嫌いや、プライベートのことなど」
<女性本人から>
「上司に対して、視界に入るだけでイライラする」
「落ち込みが激しい。仕事のことを引きずってしまう」
「気分の差が激しい。自分でも疲れる」
また、女性部下だけでなく、女性上司に対しても、こんな声が上がりました。
「女性上司がヒステリー。感情的にものを言うので怖い」
「常にイライラしている」
女性は感情の生き物と言われますが、本当でしょうか。また、男性と何が異なるのでしょうか。
男性も感情的になることは、たくさんあります。しかし、大きな違いは、男性の感情は「出来事」に対して反応します。例えば、自分の大事にしていることを軽んぜられた、きちんとやってほしいのに相手が適当に手を抜いた、嘘をつかれた、などです。これは、人によって怒りのポイントは違います。出来事に対して、意味づけをし、そこに反応するのです。
さて、これって女性でも同じことが言えますよね。しかし、何が違うのかというと、女性はこれにプラスして、ホルモンバランスが影響するのです。それによって、男性よりも感情が動きます。例えば、出来事に対して意味づけをするのは、男性と一緒ですが、その意味づけがホルモンバランスによって変わるのです。そして、もうひとつの違いは、月経、閉経など「女性ならでは」の事情です。なんとなくイライラする、なんとなくふさぎ込む、注意力散漫になる、などの現象が起こります。これは、人それぞれの症状で、頭痛、腹痛など体に出る人もいますし、併せて、多くの女性が気持ちに現れます。
また、女性の脳は男性よりも共感する力が高いのも特徴です。人に共感したり、感情移入したり、感情が一つわいてくると、そこからフック掛けされ、次々に感情の連鎖が起こったり、オンとオフが苦手だったりします。こういった脳の特徴は、強みにもなります。それは、人と信頼関係を構築するのに、相手の気持ちを察したり、配慮したり、気持ちに入り込んでいったり、といった力を使えるからです。
しかし、一方で上記に挙げたようにマイナスに出てしまうこともあります。脳の構造が異なる男性は戸惑うばかりです。
さて、研修では、まず男性側には女性の感情の特性をお伝えしています。知っておいた方が「だからか・・・」と戸惑わずにいられるからです。男性側からできることは、女性の感情の絡まりを、話を聞きながら紐解いていくことです。例えば、「それは大変だけど、あなたに起こった出来事ではないよね。」「なぜ、その出来事に対して、そう感じたの?」などのセリフで、女性が自身を客観視できるようサポートすることです。
一方で、女性本人は、感情は常について回るもの、自分に振り回されないように、今の気持ち、気分を客観的に自分で見る癖をつけることです。意識的に、オンとオフを言い聞かせることも有効です。例えば、「私は、上司に対してイライラしている。この人のことを好きではない。でも、今は仕事の場で結果を出さなくてはいけない。だから、好き嫌いはあるけれど、まずは落ち着いて仕事をしよう」という風に。
また、ホルモンバランスによる感情的失敗を少なくするためにも、基礎体温をつけて、自分を観察することもお薦めです。この週は大事な打ち合わせは避けよう、などの対策が取れるはずです。特に管理職として仕事をしている女性は、自分のホルモンバランスが仕事に影響しないように気を付けたいものです。更年期障害のタイミングに大事な役割を担っている人は、少なくありません。病院に相談する、自律神経を整える、など、自己管理を忘れないことです。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
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