先日、大学生の就職イベントで女子学生から質問を受けました。
「女性が活躍しやすい、ワークライフバランスが充実できる企業はどうやって選べばいいのでしょうか。」
その時に一緒にいた数名の女子学生たちに聞いてみたら、全員「20代後半から30代に結婚、出産して、そのあとも働き続けたいと思っているから」とのこと。
さて、今、日本は少子高齢化が問題となっています。出生率の低下と結婚する若者の人口が減っていることが根本の原因と言われ、そのためにも、女性が働きながら育児ができる社会づくりを目指す必要性をうたっています。また、大手を中心に「うちの会社はこんな制度を導入した」と、テレワークや企業内保育園の充実を目指しており、毎日のように新聞をにぎわせています。
そんな状況とそれに付随する情報から、大学の講義でも、また企業研修でも「子育てしながら働ける自分」「子育てしながら働ける会社」を目指すことが半ば当たり前、となりつつあるのを感じています。
「こうあるべき、これが正解。」
時代ごとにその正解が異なることを私は経験してきました。例えば、私が20代の頃のバブル時代。高度成長期の名残りもあり、男性は残業は当たり前、徹夜することもむしろ素晴らしいとされていました。一方で女性は、20代までのキャリアしか想定されておらず、仕事でも社会でも頑張る男性のサポート役でした。またディンクスという、あえて子供を産まない夫婦になろう、いつまでも恋人気分で、という流行もありました。
さて、私が過去の時代を経て感じたことは、世の中の流れ、課題は大事ではありますが、それに流されないようにする、ということです。30年くらい前、女性が迫られた「仕事か、家庭か」の選択肢。今の時代では「両立」に変化しています。「時代のせい」はたくさんあるものの、時代のせいにしていては自分が前に進めません。
だからこそ、今の女子学生たちが時代の風潮に流されず、自分で決めて、うまく社会の制度を使ってほしいと思ったりするものです。というのも、もしかすると今の正解は未来の正解ではないかもしれないからです。
どんな時代でも、自分が意思を持って、その時に正解だと思ったことを選択することだと思います。キャリア相談では、度々こんな本音を聞くことがあります。
「自分は、もしかすると本音では、結婚や出産はどっちでもいいと。むしろ仕事の充実が私の幸せだと感じているが、母親をはじめ友人や会社の同僚たちは、結婚して子供を育てながら働くことが当たり前、という前提で話をしてくる。早く周りの期待にこたえなくては、と思っているものの、自分はどうしたいのかが本当のところよくわからなくなってしまった。」
また企業研修では、度々「不公平感」の悩みを本音の声として耳にします。「子供のいない私たちは割りが合わない。会社の制度は、産休育休、時短中の人のメリットが中心。子供がいないと肩身が狭い。」
確かに制度の不公平感を感じる人は、今の時代、たくさんいらっしゃると思います。そんな中、自分を見失わず、自分のキャリアは自分のものとして、周囲と比較せず、自分ならではの経験を今の職場で積むしかありません。
ライフイベントだけでもなく、働き方も時代によって変化しています。しかし、自分にとっての正解は、それとは異なるかもしれません。環境変化の情報も大事にしつつ、自分が納得いく選択肢を周囲の情報に振り回されずに決めることが、これからの時代ますます必要となってきていると実感します。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
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