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コラム 人権・福祉

2010年03月01日

最終回~拝啓、坂本龍馬さま

 ぼくが貴方{あなた}と出会ったのは、高校2年生のとき養護学校の小さな図書館でのことでした。本棚の司馬遼太郎『龍馬がゆく』を見たとき、競馬の本なのかと思いました。

 当時、障害の重いぼくは全てに絶望していました。けれど貴方のことを知り、人とつながっていくチカラが、どんなに大切かを思い知りました。脱藩武士の貴方と障害者のぼくは、さまざまな人びととの関わりと発想の転換力があれば時代すら動かせるかも知れないと予感したのです。
 好奇心の旺盛さが道を開いていくことも学びました。

 貴方にだけ打ち明けますがどんな時代でも、ぼくのような障害者には生きづらいのも現実です。それが幸運にも貴方を知り、ぼくは「心は太平洋ぜよ」との意気込みで、なんとか踏ん張って家族を守り生きています。

 自分の障害に負けて、頭の中で「大変だ、きつい、しんどいといった否定的な言葉が浮かんでくると、集中力は途切れてしまいます」。
こう語るのは、『<勝負脳>の鍛え方』の著者である林成之・日本大学大学院教授です。

 だから「そんなときには、すぐに否定的な言葉を、肯定的な言葉に置き換えるのです。これは日ごろから訓練をしていないと、いざというときに実践できません」と林氏は言っています。

 これが出来ていたのが貴方・坂本龍馬さまだと感じます。

 貴方のように前へ前へ。
一切を価値に変え成功するには、幕末の貴方を手本とした生き方しかない。
いまの社会をいっそう暗くしているのも「きつい、うざい」といった人びとの気分が暗いからでしょう。

 何事も、貴方の正反対に愚痴{ぐち}を心の中心にしていては、決して幸福につながらないようです。

 前向きであれ! 断固と進め! そこに人生の幸福と勝利は輝く。
こんな貴方の生き方は、ぼくを変えました。

 体が不自由ならば、脳で勝負する。貴方の存在は、これからも多くの人びとを勇気づけるでしょう。

 人生を「旅」に例えるなら、貴方の生涯は短かったように見えて、本当は最高に充実していたのではないでしょうか。

 ぼくも貴方に負けないよう、こんまいことは気にせずに突き進んでいきます。

中村勝雄

中村勝雄

中村勝雄なかむらかつお

小学館ノンフィクション大賞・優秀賞 作家

現在、作家として純文学やエンターテイメント小説、ノンフィクション・異色のバリアフリー論を新聞・雑誌などに発表。重度の脳性マヒ、障害者手帳1級。 <小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞のことばより…

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