数年前の話になりますが、小学校4年生から高校卒業まで9年間教えた男子生徒が高校を卒業しました。
卒業式から少し経った頃、彼のお家から「長い間お世話になりました」と菓子折りが届きました。中には彼の手紙とお母様からのお礼状が入っていました。
彼の手紙にはお礼の言葉と共に「いろいろ話を聴いて下さり、ありがとうございました」という言葉がありました。彼はトルコの歴史や新撰組など他の子があまり興味を持たないものに関心があって、そういう話を休憩時によくしてくれました。
お母様のお礼状にも、「先生と過ごす時間を息子はとても楽しみにしていて、なにより先生が話を聴いて下さり温かく受け入れて下さったことが、あの子にとっては、大きな幸せだったと思います」と書いてありました。
9年間教えてきて一番感謝されたこと、それは「話を聴いてくれた」ことだったのです。
話を聴く。
それは、私はあなたに関心がありますよ、あなたのことを大切に思っていますよ、あなたのことを理解したいと思っていますよ、ということを伝えているということなのです。「聴く」というと何か受け身な感じがしますが、実はこれほど相手に対して肯定的で強いメッセージはありません。
また、あなたの話は聴く価値があるということは、「あなたには価値がある」ということでもあります。だからこそ、話を聴いてもらうことによって、子どもは自己肯定感や自信が持てるようになるのです。 今、学校だけでなく家庭内においても子どもたちの自己肯定感をどのようにすれば高められるのか、ということに関心が高まってきていますが、まずは子どもの話を聴くというところから始めればいいのではないかと思います。
大人だって話を聴いてもらったり、共感してもらったら元気が出ますよね。ありがとうって感謝しますよね。
それは「聴く」ということが、一つの愛情表現であるからなんだと思います。
長谷川満はせがわみつる
家庭教師システム学院
30年以上多くの家庭教師を指導すると共に、 自らも家庭教師として子どもの自信回復と意欲を引き出す学習指導を実践。「やってみせて、やらせてみせて、ほめて伸ばす」指導で多くの子どもたちの成績向上に…
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