私は教育において「自分にもわからないのだ」という自覚ほど大切なものはないと思っていて、この「わからない」自覚がないから、親や教師は子どもに何かを押しつけたり、強制したりしてその関係を悪くしているように思えるのです。
たとえば、
「どうすれば将来この子は幸せに暮らしていけるか」という問いに関しては、その子が大きくなって何に幸せを感じるようになるかがわからない以上、親であったとしてもわからないというのが本当のところだと思うのです。その「わからない」自覚があればこそ親の思いを押しつけないで済むわけで、それがないと「こうした方がいいのだ」と自分の考えを子どもに押しつけることになってしまいます。
何がこの子の幸せになるのかわからない、
わからないならわからないまま
余計なことはせず、
ただ大切に育てていこう
ただ大切に愛していこう
そうした気持ちがあれば、子どもに対してもっと謙虚になれるだろうし、子どもを尊重した、信頼した関わりもできるようになると思うのです。
結局、この子にとってどうすることがいいのかなんて親の自分にもわからない。
本当にそう思えれば、自分の考えで子どもを導こうとはしなくなります。
導かないからこそ、子どもは自由でいられます。
導かないからこそ、子どもは自分で考えるようになります。
導かないからこそ、子ども自身の力で自分の道を見つけていくようになります。
導かないことが実は子どもの『自立』にもつながっているのです。
そして、これは非常に逆説的であるのですが、このように子どもを信頼し、導こうとしなくなればなるほど、子どもは親の意見を聞くようになります。
一方的に教えたり、導こうとするのではなく、子どもを尊重し共に考えていこうとする姿勢で関わるとき、不思議にも子どもは大人から最もよく学ぶようになるのです。
長谷川満はせがわみつる
家庭教師システム学院
30年以上多くの家庭教師を指導すると共に、 自らも家庭教師として子どもの自信回復と意欲を引き出す学習指導を実践。「やってみせて、やらせてみせて、ほめて伸ばす」指導で多くの子どもたちの成績向上に…
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