親が「イヤだ、やめてほしい」と感じる子どもの行動には、『三部構成のわたしメッセージ』で対応すると、子どもはびっくりするほど簡単に行動を変えることがあります。
『三部構成のわたしメッセージ』とは、次の三点をセットにして述べる方法です。
・子どもの行動(事実を非難がましくなく)
・その行動で、親がどう困っているのか、親に降りかかる影響を具体的に
・影響によって生じる親の感情を率直に
講演会でその話をすると、幼児を持つお母様からこんなご意見を頂きました。
「私はちゃんと『わたし』を主語にしながら影響も言っています。でも、子どもは止めてくれません。まだ、言葉が通じないんですから無理です。」
その方のお子さんは1歳7ヶ月。ママのことを本気でぶってくるそうです。
実際に『わたし』を主語にどう言っているのか伺ってみると、こんな感じだそうです。
「え~ん(泣きまね)、いたいよ~~、○○ちゃんがぶつとママいたいよ~~~」
確かに『わたし』が主語になっているし、親に降りかかる影響も言っています。
でも残念ながらそれでは通じません。 通じるどころか、子どもは、ママが泣きまねをして一緒に遊んでくれているようにすら感じ、かえって面白がってしまうのです。
相手が幼児とはいえ、親が否定的な感情を伝えようとするときには、それなりに顔も声も真剣になるはずでしょう。
講座を受けて、1歳の子どもに三部構成のわたしメッセージを実践した方の体験をご紹介しましょう。
1歳6ヶ月のKちゃんが、陶器で出来た、カエルの置物で遊んでいます。そのうち、陶器のカエルを投げ始めました。
母 カエルさん投げると、ガチャーンって割れて、お母さん 床フキフキしたり、
お片づけしないといけないから 困るなあ
K ……(また投げる)
母 投げて遊びたいんだねぇ…。
でも、カエルさん投げると困るんだ。ガチャーンと割れたら、
お母さん 床フキフキしたり、お片づけしないといけないんだ。
K (悲しそうにすがり寄ってくる)
母 わかってくれたんだね~! うれしい~。
《感想》1歳の息子に言葉が通じるかどうか不安だったのですが、思い切って言ってみました。まるで「ごめんなさい」と言っているような顔で、すがり寄ってきたときには本当にビックリしました。
「投げたらダメ」「やめなさい」のような言葉でも、幼児はその行動を止めるでしょう。でも、それらの言葉で伝わるものは?…禁止ですね。
もちろん、禁止を知らせることも大事な躾の一つではあるでしょう。
しかし、親の内部にあって見えにくいものを『言葉』で子どもに伝えることが、躾において、実はとても重要なことなのです。
その行動で、親がどう困るのか、親が何を感じているのか、それを知ることで、子どもは自分の行動を決めるために、親の気持ちに目を向けながら、思考を発展させるのです。
親から嫌われることを望んでいる子どもはいません。それは幼児であればなおさらです。
上の事例では、自分の行動が親にイヤな思いをさせていることを子どもが知ったことで、親に対して申し訳ない思いが生まれたのかもしれません。「ごめんなさい」を言う代わりの行動をとっています。そして、もちろん、かえるを投げることも止めました。
幼児のうちから親の内面を『言葉』で伝えることで、気持ちの通じ合う親子関係が実現します。そして、人の気持ちに目を向けながら行動する、思いやりのある子に育っていくのです。
鈴木みどりすずきみどり
親業訓練協会シニアインストラクター
人間関係をより良くし、相手のやる気を伸ばす方法を、難しい言葉を使わずにお伝えしています。誰にでも即実行可能な方法を手にすることができます。笑いあり、涙あり、実践ありの充実した講演と定評です。
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