先日チームワークについて相談を受けました。
「わが社では最近、プロジェクトチームを立ち上げ、ヴィジョンステートメントもつくりました。また情報共有システムも作ってあります。なのに、うちの部門はいまひとつチームとして機能しないのです。一人ひとりは優秀なのですが…」(40代、マネジャー)
答え『まだチーム全員で、それらビジョンやゴールを共有したいという土壌ができていないから』
そもそも、チームを構成しているのは人です。この場合、その人同士の関係がまだしっかりできていないのです。会社では、ビジョンを作ったり、情報共有のシステムの構築は目に見えてわかりやすいこともあり、しっかり取り組むのですが、人の関係性づくり(リレーション・エンジニアリングとでも言いましょうか)については、数値化できず、人の感じ方でしか判断できないので、ついおろそかになってしまいがちです。
私たちは、まずは相手を良く知らないと、一緒に何かしようとは思わない生き物です。そこをすっとばして「仕事だから、するのが当たり前だろう」と無理にゴリ押ししてしまうと、しばしば上記のような悩みにぶつかるようです。
私は最近マンションに住み始めたのですが、当初、住人の方とは接点もなく、軽く会釈する程度でさびしい限りでした。しかし、飼っている犬をきっかけにして、会話が生まれ、お互いの家を行き来し、趣味のこと、家族のことを知り仲良くなるにつれ、急に「この人たちと何かをしたら楽しいかも、いやしたいな」と思うようになったのです。
職場においても同じこと。まずはビジョンやタスクを押しつける前に、”人”としての相手をよく知る機会を設ける。合宿とか運動会をしなくとも、仕事人としてではなく、一個人としての本人に焦点をあて「これまでもっとも頑張った仕事」「感動した上司の言葉」などお題を決めてシェアしてもらい、相手の価値観を知ったりすることもできます。また会社によっては、社内報や社内ブログに個人のインタビューをして、その人の人となりを紹介しているところもあります。こうしてだんだんその人の人物像がわかりはじめると、「あ、この人となら価値や目的を共有してもいいかな」と思い始めるのです。
もちろん、仕事上でのつきあいですから、苦手な相手がチームにいることもあるでしょう。その場合でも、相手を好きになる必要はありませんが、最低限こういう人で、こう言う価値観を大事にしている人だということがわかれば、共にやっていこうという気も起きるものです。
この土壌づくりは農作物づくりと同じで、しばらく時間は必要ですが、少し手間隙をかけていくことでだんだん土(人)がこなれていき、種(ビジョンやタスク)がまかれたとき、それをみんなでグングン育もうという土壌(関係性)が生まれてくるのです。
皆さんの会社の土壌は、十分耕されていますか。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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