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2011年03月04日

考えてもらう方法を考える

 普段私は、「いかに皆さんに見方を変えてもらうか」を考えながら話をしています。先日、とある地方で「ものの見方」についてのセミナーを開いたときのこと。休憩時間に、参加者の方がロビーで雑談しているのがちらっと耳に入ってきました。

 「・・・ものの見方って、つまりは訓練だよね。見方を変えろってのはわかるんだけど、実際、なかなか難しいんだよなあ・・・」
 (ドキッ!)そうなんです。ものの見方を変えるっていうのは、頭ではわかるのですが、それがなかなかできないんですよね。

 ものの見方は、実は勉強するものではなく、体を動かして身につけるもの。語学やスポーツと同じで、日々のトレーニング、訓練が必要なのです。たとえば、新聞やテレビも、会社や局が違えば切り口も違います。またいつも右折して帰る道を左折して帰れば、慣れていない道なので、これまで寝ていた感覚が活性化し、新しい情報が目に飛び込んできます。こういう小さい視点の変化が、見方を変える習慣をつくり、やがて仕事や人生でもっと大きな困難に直面したときにも、それを乗り越えてプラスにできる見方を見つけることができるのです。

 講師という仕事は、つい自分がいい話やまとめたことを言いたくなるものです。しかし、おそらく、聞く人の本音はさきほどのつぶやきと同じなはず。ですので、講師は、話のテーマの内容をいかに皆さんが自分に置き換えて考えられるか、その場作りをすることが仕事なのだと思います(自戒をこめて)。

 人って、自分が考えることがよいことだと思いがちですが、案外、それよりも相手に考えてもらうこと、相手が考えやすいような投げかけをすることが、本当は必要なのかもしれません。つまり、相手に考えてもらう方法を考える、ということになります。

 私も、今回自分の枠の中にはまり、必死で「いい提案」をしようと頑張ってしまいましたが、それよりも皆さんが考える場をつくって、自分の生活で何が出来るかを聞いてみればよかったなあと反省しました。

 これからの私のセミナーでは「明日、職場や生活の中で、見方を変えるためにできることを1つ教えてください」のように問いかける時間をできるだけ作ろうと思いますので、ご参加いただく方は楽しみに(えっイヤだって?まあそうおっしゃらず)していてください。セミナーとは、人の話を受身で聞く場ではなく、自分から主体的に考える場であってほしいものです。

川村透

川村透

川村透かわむらとおる

川村透事務所 代表

「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…

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