私は、5月に、2年親しんだ銀座のカプセルタワーを離れ、多摩のインキュベーションオフィスに事務所を移転しました。普段、見方を変えることを提唱している自分ですが、仕事の環境が変わることについては、かなり抵抗があり、今回、人が変化に直面したときにどう感じるか、わが身をもって体験しました。
移ろうと思った理由は、まずは子どもが保育園に行きだし、共働きで、育児に使う時間が必要になってきたこと(保育園の送りやら、急な病気など)。通勤時間が苦痛なこと。そして、都心に出て行かなくても多摩にいながら仕事がこなせるというライフスタイルを実証したかったことなどです。しかし、そうはいっても、大のお気に入りだった「カプセル」という場所を離れるのには、相当悩みました。故黒川紀章氏による10㎡の狭い空間に丸い窓。なんともいえない雰囲気がありました。また銀座という立地や住所。そして、何よりも自分の城というか、物理的にパソコンやら本やらを置いておける場所がなくなる、ということが、どうしてもひっかかっていたのです。人が変化をいやがる理由は、そのときに自分が握っている価値観を手放すことができないからなんですね。それを手放したときに手に入る新しい価値観がイメージできないのです。
そこで私も、自分のこだわりを手放したら、何が手に入るのかを考えてみました。まずは、これまで通勤に要していた時間。往復3時間近くが空くことになり、その分を作業や家のことに充てられます。次に銀座という立地や住所。これはひとつの信用やステータスかもしれませんが、最悪、それで仕事がこなくなるようなことはないので、妥協はできるところです。
一番いやだったのが、自分のものを置いておく場所がなくなること。新しいオフィスの形態はシェア型で、空いているブースをその都度使うことになるので、毎回資料やパソコンを持参しなくてはならないのです。しかし、ここは「ものの見方」の見せ所。ということは、そのスタイルに慣れれば、これまでは事務所にいかないと仕事が始められなかったのが、ノートパソコンが「どこでもオフィス」になるので、どこにいてもパソコンを開けば即仕事ができる、ということです。結局、自分のガラクタや本、デスクトップのパソコンは、自宅に置くことにしました。移転して2ヶ月近くたちますが、思いのほか快適で、仕事にも集中できています。
今回の学びは、変化に適用するには、いまの価値観をいったん横におき、新しい環境で何が手に入るのかを、一生懸命探すことが大事ですね。それらが昔の価値観を上回るとき、「変わってもいいかな。変わろう」とようやく思えるのですね。そういう点を見つけるのは、自分ではわりと得意だと思っています。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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