うちの息子は、満一歳になりました。もう歩くのも自由自在で、よくしゃべるようにもなり、いまは「パパ、ママ、ジジ、ブブー、わんわん」の5つも!話せます。
子育ては、まさに人を育てることに他なりません。そこには、組織をまとめていくときなどに使えるヒントがいっぱい詰まっています。見方を変えれば、「子育てこそ、マネジメントのエッセンスが詰まった最高のケーススタディ」だと思います。もし子育てに積極的に参加している世のお父さんが、組織を任されたら、いいマネジャーになれると思うのですが、どうでしょうか。
息子は、いま、自我が芽生えてきて、自分でいろいろしたい頃です。歯ブラシを渡すと、自分で磨きたいらしく、磨くマネをしますが、うまく磨けていないので、歯ブラシを取り上げて私がやろうとすると、とられるもんかとすごい力で歯ブラシを握り締め、ものすごい抵抗をします。無理やり奪い取ろうものなら「ギャー!」ともう大泣きです。
これを会社での上司と部下におきかえてみると、部下が自分でアイデアを考えてきたのに、上司がそれを無碍(むげ)に却下しているようなものですね。権力で自分の意思を押し通そうと思っても、昔は通じても今の若者には通用しません。
こんなときは、歯ブラシを握りしめた、息子の手に、そっと私の手を沿え、ほめながら「あーイオンくん(息子の名前)、上手だねー」と導くと、二マッと笑いながら、なんとか一緒に磨かせてくれます。親の権力で無理やりやってもダメなんですね。彼の自主性を尊重しながら、そっと手を添える。会社でも同じことがいえます。先ほどの例でも、部下が自分でつくってきた提案書を一緒に並んでみながら、「うん、なかなかいいねえ。そうだ、ここはこうしてみたらどうかな」と、相手の努力を認めながら、そっとアイデアを追加すれば、部下は喜び、頑張ってくれるはずです。
一歳の子どもというのは、本当に日々成長が著しく、昨日できなかったことが今日できるようになり、本当に目が離せません。見ていると、「これはやっちゃだめ」という枠がまったくないので、気持ちいいほど、思うままに進んでいきます。危ないときには無理やりにでも制止せざるをえませんが、できるだけ本人の可能性をつぶさないよう、自由にさせています(しかし、ソファやテーブルからまっ逆さまに落下することが多々ありますが)。
本当に人のマネジメントに通ずることがたくさんあるのが子育て。仕事は会社の中だけと決めつけずに、見方を変えてみるというのがビジネスもプライベートも前向きに進める方法なのだということを改めてお伝えしたいと思います。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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