今回は、実際のコラボレーションの事例をいくつかみてみましょう。
はじめは、豆腐とアニメキャラという、まったく異なるもの同士の掛け合わせです。これは「ザク豆腐」という商品なのですが、実はアニメ「機動戦士ガンダム」に出てくる戦闘ロボット「ザク」を形どった豆腐なのです。「そんなの知らないわ」「誰が買うの?」とお思いでしょうが、これが信じられないほど売れたのです。5千丁売れればヒットといわれる豆腐業界で累計約50万丁、つまり100倍の違いを生み出したのだからオドロキです!
次の例は「カルピス」です。これは日本人なら誰でも知っている味。子どものころによくお母さんが作ってくれました。しかし、時代の変化や少子化の波、また大人になればその味を卒業してしまうことから、やがて業績不振に。その状態を復活させたのが他の企業とのコラボです。門外不出の秘伝レシピを公開することになるのですから、それは勇気が要ったに違いありません。しかしそのおかげで、カルピス社はV字回復を成し遂げました。これまでに10以上の製品が開発されました。「カルピス蒸しパン」(山崎製パン)「カルピスガム」(江崎グリコ)「カルピスシュークリーム」(麦の穂)などがその一例。確かにこうすることで、カルピスは飲まなくなった大人でも「ん?カルピス味のガムってどんなだろう」「カルピス味のガム?懐かしいな」というふうに、新しい客層を開拓したり、過去の愛用者を再度取り込んだりすることに成功したのです。
次の例は「JAL×東京スカイツリージェット」です。このコラボの目的は”JALがスカイツリーのオフィシャルエアラインになりました”と消費者に訴えることで、「飛行機でスカイツリー見学に上京するときにはJALかな」というイメージを潜在意識に植えつけることにあります。最近は何でも「公式○○」「オフィシャルスポンサー」流行ですが、こうしたマーケティングは商業的効果を狙ったロスオリンピックのころから出てきたようにみえます。
また、テレビドラマに登場する商品が、そのドラマの名前をつけた商品を売っていることもよくあります。昔なら、紹介されればラッキー程度だったのが、いまやそれを逆に利用しようという店主のしたたかさが見えてきたりします。東野圭吾さん原作で、阿部寛さん主演で映画化された「新参者」シリーズに登場している「重盛永信堂」には、「新参者」と文字の入ったおせんべいが売られていたりします。
以上、どのケースでもいえるのは、かならずお互いがすでに価値のあるものを持っていること。なんのとりえもない企業が、強い企業にすがるといったようなことはないのです。その意味でも、自分の価値を知ることは大事ですね。
次回は上司といかにうまくコラボしていくか、についてお話します。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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