私のセミナーで、よくやるワークのひとつに「相手のいいところを10個みつけよう」というのがあります。これは、参加者の皆さんのものの見方を変えてもらうため、視点を移動するためのトレーニングです。
先日もある団体でこのワークをやってみました。参加者は30代を中心に30名ほど。この職場は女性が多い職場で、若い社員をまとめる40代くらいの担当者の方から「私たちも、ついこれができていない、あれがダメだ、と否定するところから入ってしまうんですよね」という悩みを事前に聞いてはいました。
さて、セミナーがはじまり、いよいよそのワークです。
「では、視点を移動するトレーニングです。ペアになり、目の前の方のいいところを、思いついたままで結構ですから、どんどん口に出していってください」
と投げかけました。
シーン…。
なんだか様子が変なのです。皆、困った顔をしている。会場を見回しても、ポロッ、ポロッと言葉が漏れ聞こえるだけで、目をそらしたり、モゾモゾと、バツの悪い沈黙が流れている。
なぜ、こうなってしまうのでしょう。その原因のひとつは、実は上司の「ものの見方」にあるのです。上司が彼女たちの「できないところ」ばかりを直そうとするあまり、つい悪いところばかり指摘してしまう。指摘された部下は、やがて自分が他人を見るとき、同じように「できていないところ」が目についてしまう。こうして、ものの見方は伝染していくのです。
もちろん、上司も悪気があってのことではありません、いやむしろ、彼女たちの能力を信じ、できるとわかっているからこそ、厳しい言葉を投げかけるのでしょう。ただ、その思いとやり方(=声かけ)が少しずれている。そのために、本当は自信を持ってほしいのに、結果として彼女たちが自信をなくしてしまっているのです。
相手に自信を持ってもらうには、まずは自分の相手の見方を変える。できていないところばかりに着目するのではなく、相手のいい面、できているところにスポットをあてる。人は不思議なもので、自分が人からそう見られると、やがて自分自身をもそのように見ることができるようになるのです。
ものの見方は伝染します。上司の視点ひとつで職場のやる気はガラリと変わる。あなたの部下を見る目、大丈夫ですか。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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