いま、初めてのオリジナル作の本を書いているが、筆が進まなくなると、私は決まって書店に行く。そこで、平積みにしている本を見て「よしっ、自分も頑張るぞ」を気合を入れ直すためだ。
しかしその反面、自分の知った人が本を出していて、それがまた売れていたりすると、正直嫉妬してしまったり、落ち込んだりする。
「あー、あの人はどんどん売れていくなあ」
「あの切り口は、僕も気づいていたのに…」
やる気を出しに書店に行ったのに、逆に落ち込んでしまったりする。まったく何をしにいったのかわからない(笑)。
また、前の会社の同期の噂が入ってくる。35歳の若さで代表取締役に昇進した者、転職してパリに海外赴任の辞令を受けた者、都内に一戸建を買った者、マンションを購入した者、外車を買った者もいる。そんな彼らの話を聞き、ふと素直に喜べない自分がいるときがある。あなたにもそんなことはないだろうか。
「嫉妬心」は、寺の坊さんや神父様のような、悟りを開いたよっぽど偉い方でない限り、誰にでも必ずある煩悩だ。僕はそれほど出来た人ではないから、これを無くすのは難しい。
でも、あることに気づいた。それは、他人をうらやましく思っているときの自分を振り返ると、必ず「自分に迷いがあり、自分の目標を見失っている」のだ。自分に焦点が向いていないから、人がうらやましく見えるのだ。
これはレストランに人と入った時の感覚に似ている。たとえば、デニーズに入って「今日はネギトロ丼を食べる」と決めていれば迷うことはないが、何も決めていないと人が頼んだものをおいしそうに感じ、つい食べたくもない「ハンバーグ定食」を頼んでしまうのと同じだ。
人生は自分のものだ。自分の価値は自分にしか決められない。人と競って勝ったり、人が持っているものを手に入れることが価値ではない。大切なのは自分で目標を設定し、それに対してどれだけ近づけたか、自分がベストを尽くせたかどうかで、それによって自分の価値は決まるのだと思う。
オーストラリアの国民的英雄、イアン・ソープもこう言っている。
「僕にとって、順位は結果にすぎない。ライバルに勝とうが負けようが関係ない。僕は自分が決めた目標と向き合っている。だからレースに負けても、自分がベストを尽くせれば自分は勝ったといえる」
人と自分をつい比べてしまう人へ。
それは、自分が目標をもっていない証拠だ。自分の価値を人に決めてもらっている証拠だと思う。あなたの価値を決めるのはあなた自身だ。つい人の結果が気になるときはこう考えよう。
「落ち着け。自分がこれまでやってきたことを見ろ。それは自分にしかできなかったことだ。人の結果はどうでもよい。次なる自分の目標を設定しよう。そしてそれに向かって突き進むのだ。ライバルは自分自身だ」
自分でやると決めたことを達成する-この満足感は誰にも味わうことができない、あなただけのものだ。そう考えて自分に目を向けてみよう。やがて視界から、他人が消えていくに違いない。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
講演・セミナーの
ご相談は無料です。
業界21年、実績3万件の中で蓄積してきた
講演会のノウハウを丁寧にご案内いたします。
趣旨・目的、聴講対象者、希望講師や
講師のイメージなど、
お決まりの範囲で構いませんので、
お気軽にご連絡ください。