人は、世の中を、自分を、あるひとつのフィルター(色眼鏡)を通して見ています。それがひとつに固まってしまうと、自分の大切なことや、自分らしさ、これから進むべき方向などが見えにくくなってしまいます。
今回は、6つの切り口から自分をもう一度とらえなおしてみることで、忘れかけていたものや先の未来を見つける、そんなワークショップをしてみましょう。以下、6つの質問にそれぞれ答えてください。私の場合の記入例を書いておきます(ちょっと恥ずかしいなあ)。
1.これまでの人生で、誇れる、自慢できる仕事や経験は何ですか?
(どんな小さなことでも。学生時代まで遡ってもいいです)
・中学時代に自転車で日光までいった
・高校の体育祭で応援団長をしたこと(全校生徒を興奮の渦に巻き込みました。楽しかったなあ)
・バイクでホストファミリーの反対を押し切ってアメリカ大陸横断を敢行したこと(言われてあきらめずに、ほんとよかった)
・前の会社で、会社案内を作る仕事に携わったこと(本業とはまったく関係ない仕事でしたが、こういった事象をまとめてわかりやすくする仕事って、なんか好きなんです)
・外国人のお客様をアテンドしたこと(英語が通じるっていう体験は、とても刺激的。世界に向かって窓が開いたって感じ)
2.自分が生きていく上で「これがなかったら自分らしくない!」というものを、短い言葉で表してみてください。
自分のやりかた、感性を信じる、ユニークさ、人とは違うオリジナリティ、常識は非常識、人にきっかけを与える、勇気、人間性、チャレンジ、クリエイティブ。こんなところかな?
3.もし余命一年と宣告されたら、いま何をしますか?
世界を見て回る。本を書く。犬を飼う。親孝行。本を書く。
4.最近、失敗したこと、うまくいっていないことはありますか?それにほかの意味をつけるとしたら?
いつもどおり、シャツにノーネクタイで講演をしたら「それって失礼じゃないの」という感想をいただいた→「そうか、相手の場の雰囲気に自分が合わせることも必要だなあ」ということを今更ながら学び、少し大人になった。
5.もし明日会社をクビになったとしたら、何を仕事にできますか?
(いきなりたこ焼き屋とかじゃなくて、いままでの経験を活かすとしたら?)
うーん、いまはもう一人でやっているからわからないけど、もしシステムコンサルタントの当時、クビになったら…「業務プロセスの改善コンサルタント」「個人の魅力を引き出す自己プレゼンテーションコンサルタント」「海外の企業の日本進出のサポート」…こんなところが思い浮かびます。
6.もし、すべてうまくいくとしたら、5年後、あなたはどうなっていますか?
(具体的に。新規事業企画部長になっていて、ファストフード店を運営している…とか)
ニューヨーク、パリに拠点を置いて、一年3ヶ月づつぐらい回遊する。人が自分らしく生きることをサポートするような事業をする。
さて、皆さんの答えはいかがでしたか?これは、私の講演でよく使う「6-framing technique」というものです(下図参照)。1~6までの皆さんの答えが、次のそれぞれを表しています。
1. Resources 資源
これは自分の原点。その経験を思い出すと、力が湧いてくる源。自分らしさに立ち返れる、そんな経験がきっとあるはずです。そのときの自分を思い出してみましょう。
2. Values 価値
これは自分にとっての価値。自分が自分であるために欠かせない要素ですね。これに触れるものはエネルギーを注げばいいし、そうでないものは流せばいいのです。自分の価値を知っておくと、力の無駄が減ります。
3. Priority 優先順位
これは本当は大事なのに、いま仕事が忙しかったり、目の前のことに追われてやっていないことです。少しずつでも、時間をとって、これはやっておきたいものです。いつ、何が起きるかわかりませんから。
4. Perspectives ものの見方
つねに多方面からものを見れるかどうか、自分で意味をつけられるかどうか。この感性に人生すべてがかかっているといっても過言ではありません。もののみかたで人生が変わります!
5. Competency 能力
これは「いまの自分にできること」です。何も新しいことをこれからやるのではなく、これまでの自分の経験、積み重ねでできることは十分あるはず。自分が培ってきた知識やノウハウは、他の人からみるととてもユニークなもの。自分としてはまだまだと思っても、人から見ると立派なものです。「いま、何が足りないか」ではなく「いまの自分に何ができるか」、それに意識をおきましょう。
6. Vision ビジョン
5年後、あなたが戻っていく場面がこのビジョンです。そこにはっきりと絵が書けたら、それがあなたの目的地。だからいまはそこに帰っていっている途中。必ずそこにたどり着くのだと信じて、今日を生きればちょっとした悩みなんて吹っ飛んでしまいます。仮にでもいいですから、自分が帰っていく場所をイメージしてみてください。これを持っている人は、強い!
私の場合は、こうして自分をRe- framingすることにより、自分の核が見えてきたというか、人にあまりまどわされなくなりました。何が大事で、何が自分らしくて、将来どうなりたいのかがまったく見えていないと、不安でつい人と自分を比べてしまい、落ち込んでいくばかりです。でも、自分の価値や優先順位、ビジョンが見えてくれば、人と比べるのでなく、それと比べればいいのでもう惑わされることもありません。
自分に向き合うときには何かこうしたツールを使うとより効果的。これからもこういったシートを開発していく予定です。
<今月のレッスン:ダイヤモンドには輝く角度がある。自分のその角度を早く見つけよう>
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…