さて、一年間書き綴ってきたこのテーマも今回が最後となりました。先日、平昌オリンピックが閉会しました。日本選手団はメダルを13個獲得し、冬季では過去最高の結果となりました。躍進が目立ったのは、フィギュアスケート、スノーボードやカーリング、モーグルなどの競技。そこで見えてくるキーワードが「非伝統」と「外国人コーチ」の二つです。
たとえば、スノーボードという競技はまだ新しく、昔の功労者が古い価値観そのままにその団体を牛耳り、若手が自由にモノを言えないというような空気感ではありません。逆に少し前、腰パン問題や大麻などで、ルーズなイメージがあったくらいです。平野歩夢選手の活躍や、それを支えるお父さんの育て方、コーチの接し方などを見ていると、とても自由で、新しさを感じます。以前、お父さんが彼にコーチをつけようとしてある人のところへ連れていったところ「彼は自分で自由にやらせたほうがよい」と言われたエピソードがあるそうです。
女子カーリングも大活躍でしたが、ここはカナダ人コーチを招いています。羽生結弦選手のコーチも外国人ですね。外国人コーチのよいところは、日本にあるようなしがらみや上下関係、変な遠慮や気遣いがないので、純粋にそのスポーツに向き合うことができることでしょう(例外もありますが)。これとは対照的に、相撲やレスリングといった、歴史と伝統があるスポーツのほうが最近いろいろな歪みが見えてきています。スポーツの世界を見てもこうなのですから、これはおそらくビジネスの世界でも同じことが起きているはずです。
新人にはまず下働きの雑用をさせる、聞いてこない者には教えない、教えることで自分の優位性を失うのでそれをためらう、など、昔の価値観を引きづっている上司たち…。そしてそれらにハッキリとNOをつきつけているのが、いまの若い人たちなのです。
この50年で、技術も進化し、それにより人対人の関係も変化し、人間も進化しました。しかし、教え方については、まだ昔のやり方をしている人がなんと多いことか。昔なら教えているそばからメモを必死にとっていたのが、いまはスマホで動画撮影されてしまう時代なのです。そういう効率化の時代にふさわしい教え方とはどんなものでしょうか。
たとえば:
・ゴールまで最短距離で到達できるルートを教える
・それをする理由を明確にする
・できる部分とできない部分を判別し、できない部分だけを集中的に教える
・到達度をなるべく数値化する
・動画、メッセンジャーアプリなどを活用した時間&場所にとらわれない講義
・ナレッジデータベースを用意し、各人が適宜参照できるようにする
・人による教え方のばらつきをなくすため、統一フォーマットを会社で用意
(運転免許のように「レクチャー→実技指導→テスト→認定」など)
こんなイメージが平成に続く次の新しい時代の教え方になるのではないでしょうか。いままさに教えるほうの私たちが変化するときなのです。
一年にわたりお付き合いいただき、ありがとうございました。最後に各回で取り上げたテーマを一覧にしましたので参考にしてください。
さて、来月からの新テーマは「働き方改革」です。生産性を高めるとは?業務改善とは?など、いま旬のテーマについて考えていきたいと思います。どうぞお楽しみに。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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