さて、ものの見方で問題解決!第二弾は金融サービス編。今回はある信用金庫で行った研修の様子を元にお伝えします。
研修のテーマ:「やる気を維持するために必要な5つのヒント」
依頼の背景・課題
こちらの信用金庫では、毎年入庫後の新入社員の研修を行っています。時期的には、入社後の研修を終え、現場に配属され、外回りをする社員も出てくる秋口ころ、入庫後半年ぐらい。ちょうど、描いていた理想と現実のギャップに気づき、「こんなはずじゃなかった」と疑問を感じ始めるときでもあります。ここで落ち込む気持ちを再度持ち直してほしいということで、このタイミングでの研修が企画されています。
ものの見方で斬る
主催者様の意図は、「ここでものの見方を変えて、モチベーションを維持してほしい」というものでした。まず行ったのは、仲間同士での「不安や悩みの共有」。ふだんは口に出せないストレスを皆で書き出して共有し、自分だけが抱えているのではなく、みんなも同じなんだなと、視点を広げるワークを取り入れました。ここでだいぶ不安感が取り除かれたように思います。
また同じ同期がすでに外回り(営業)を始めているのに、自分はまだ内勤で、遅れをとらないかと焦りを感じているという声もありました。これについては視点を転換し「いまの時間を、のちに自分が外に出るときの準備期間が長く与えられていると考えてみてはどうか」という提案をしました。外でお客さんに聞かれるであろう質問(ATMのことや、年金の引き落とし、おすすめの投資信託など)をあらかじめ下調べをしておくことで、将来より適切な回答ができることにもなります。
またほかの社員の方からは「お客様に口座を開設しては欲しいが、どうしても罪悪感を感じてしまい、会いにいきづらい」といった声もありました。これは業種にかかわらず多くの営業パーソンが抱えている悩みだと思います。これについては、自分の視点があると、こうした罪悪感を感じてしまいがちです。ある先輩の営業パーソンから聞いた話ですが、「かつての自分もそうだったが、そんなときは、地域に流れてくる防犯情報をつねにキャッチし、自分の担当地区の情報があるときは、それを伝えに行っていた」と言うのです。つまり、本当は口座を開いてほしいという自分の目的がどこかにはあるかもしれませんが、お客様に役立つ情報を届ける、という別の役割を意識することにより、視点を変え、自分の罪悪感を消すという方法です。このように、できる営業パーソンは視点の工夫をして、自分の行動を止めない工夫をしているものですね。
今後の展望
今後はキャッシュレス化が進み、メガバンクは人員を削減していく方向です。となると、ますます人にしかできないサービスとは何かを突き詰めていかねばならないでしょう。その点、信用金庫などではお客様との距離が近いはず。若い人は自分でどんどん情報を取りにいったりITを活用できますが、シニア層になってきて、そういったことが難しい人、また身体的に動けなくなっていく人などに対し、玄関先まで出向いていける信用金庫などの金融サービスは、ニーズが必ずあるはずです。テクノロジーが進化するほど、人に寄り添ったサービスが求められていくと思います。
さて、次回は旅行業界です。どうぞお楽しみに。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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