さて今回は、忘れもしない衝撃的な発想を導き出した研修のお話です。この会社は、工場プラントなどを作るときに必要な基幹部品を扱う会社で、本社は海外にありその日本の代理店という関係でした。その研修は日本支社長様からの直接の依頼で実施されました。
研修のテーマ:「ものの見方を変えてみませんか」
依頼の背景・課題:
当時研修に参加されたのは10数名だったと記憶しています。まだ規模も小さく、皆さんアットホームな雰囲気でした。社長の悩みは「当社の製品は本国から輸入しているが、納期に時間がかかり、いくら催促してもなかなか思うように送られてこない。どうすればこのリードタイムをお客さんにうまく説明できるか、というものでした。
ものの見方で斬る:
この課題を皆さんにワークショップ形式で検討してもらったところ、仰天するようなアイデアが出てきました。それは逆転メガネを使ったもので、「どれだけ催促しても納期が守られないのは日本側ではどうしようもない。ならばこの時間の見方を変えて、むしろ逆に高い品質のものを作っているのでこの時間が必要であるいう説明を顧客にしてみてはどうか」というアイデアです。
この一見ムチャクチャに見える発想ですが、当の社長さんはこれを聞いて大真面目に頷いていました。業界において、この会社の製品の品質は確かに高いものでした。なので顧客の言いなりになっていてはかえって価値を下げるようなもの。なので、納品までの時間を我慢してもらう代わりに、そのリードタイムの間、たとえばコンサルティングなど別のサービスを付加したり、納品後のアフターサービスを無料で行うなどの付加価値を追加することで、顧客の納得感を得ることもできるのではないでしょうか。とてもおもしろい考え方でした。
今後の展望:
この研修での発想は衝撃的で、もう10年以上前でしたがいまだ強烈に覚えています。これぞ逆転メガネの持ち味と言えるでしょう。この考えはほかの業界でも応用が利きますね。ついお客さんの声や、目先の売上に目がいってしまい、みすみす自社の製品やサービスの価値を下げていることがよくあります。そういうとき、あえて逆張りをしてみる、そのことで顧客が選別され、本当の価値をわかってくれる優良顧客が見つかることもあります。
たとえばオンライン英会話業界などでは、一時間千円を切る価格でサービスが提供されていて、過当競争になってどんどん単価が下がっています。こうした状況でも「社長さんだけの英会話」と銘打って、一時間一万円でサービスをもし立ち上げたなら、必ずそこにヒットしてくる層があるはずです。皆さんも自社の製品やサービスが、自分ではどうにもできない制約を抱えているときには、ぜひ、こうした逆転メガネを使ってみてください。
さて次回は、青年会議所を取り上げてみますが、仕事以外で人を集める組織や団体を運営していく際のモチベーション向上にも繋がる視点で書いてみますので、関係のある方はぜひお読みください。それではまた。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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