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第7回「リモート環境での組織の在り方」
最近ようやくコロナの感染状況も落ち着いてきています。しかし、そうかといって、コロナ以前のように組織の在り方が戻るとは思えません。それは、コロナ禍になって初めてリモートで作業をしてみて、案外できるものだ、という感触を多くの企業が得ていますし、また新しい価値観、働き方を模索する企業が増えてきていることもあります。こうした環境下で、今度どう組織の姿はあるべきなのでしょうか。
場所の制約はない
これまでは「会社に行く」というのが基本でしたので、必然的に自宅から通勤できる場所、というのが前提条件でしたが、リモートで働けるとなると、毎日通勤する必要はなく、たまに出社すればよい形に変わりますので、たとえば北海道の人が東京の会社で働く、ということも十分に可能です。またオフィスも交通の便が良い都心にある必要もなくなります
ので、郊外でもよいし、またはオフィスは借りずにレンタルオフィス、定例会は貸し会議室やリゾートホテルで、というようなスタイルも十分にみえてきます。場所の概念が大きく変わります。
理念や忠誠心より働きやすさ
プレコロナ時代は、また精神的にも人をいかに会社に帰属させるかが大事な課題でした。ですので、理念で人をひきつけ、また人間関係をできるだけ作って会社に引き留めておくような考え方が主流でした。しかし、ポストコロナ時代になると、上司とそう毎日顔も合わさないし、人が集団となっていることもほぼない、となると、より自分の仕事がやりやすい環境を与えてくれるかどうか、というのがメインになってきます。つまり自分を信頼して任せてくれる、必要に応じてサポートしてくれる、やったことはしっかり認めてくれる…こうした働き方や評価制度を導入することが、よい人材を集めるための前提条件となってくるでしょう。
仕事の内容の明確化
また仕事の内容も、より専門性を求められるようになってきます。市場が成熟し、より高い成果を出していかねばならなくなってくると、社員にもより専門性を求められます。日本の企業はこれまで、すべき仕事の定義があいまいでした。しかし欧米では、job description (職務内容記述書)という書類があり、あなたに求める仕事はこれこれである、と明確に定義されています。こうして人に任せる業務内容をはっきりと切り分けるのは管理職の仕事ですが、リモート環境で極力効率を上げるためには、このjob descriptionの定義が必要ですね。
コロナ時代のマネジメントは?
リモート環境での部下の仕事管理は、上司の考え方をまずは改めなくてはいけません。プレコロナ時代は、いわば性悪説にのっとり、人は監視しないとやらないものだという考え方から、日々の終わりに今日一日の業務報告をさせたり、ひどい上司だとリモートで画面の前に姿を映すことを求める人もいるそうです。ポストコロナ時代においては、性善説をベースに、部下を信頼し仕事を任せる、そして陰ではしっかり仕事内容を見ていて、レビューの際には「あの仕事よく頑張ったね」と見ていることを伝えてあげる。そうすることで「あ、リモートでもちゃんとみてくれているんだな」という安心感を与えることができます。管理よりも信頼が大事なのかなと思います。
働く側も自律が求められる
一方、部下のほうも、自主性を尊重される反面、結果には責任を持つ自覚が必要です。
ポストコロナ時代はおそらく会社の評価制度も「期日までに結果をきちんと出せばよい」というスタイルが主流になってきます。しかしこれは、裏を返せば「結果を出せないものは評価されない」ということです。結果を出さないので上司は監視したくなるのです。任せてほしいと思うなら、結果には責任を持つ意識が重要でしょう。
まとめ
このように、いま静かにしかし確実に組織の在り方は、大きく変化しています。理念よりも仕事のしやすさ、マルチプレーヤーよりもスペシャリスト、管理よりも信頼。ぜひ考え方を変えて、ポストコロナ時代に合わせた組織運営をしてください。
*リモート環境での組織の在り方*
- 場所の制約はない
- 理念より働きやすさ
- 仕事内容の明確化
- 管理よりも信頼
- 自律できる社員
次回は、「インタビュー「リモート環境での働き方」」をお送りします。どうぞお楽しみに。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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