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2023年02月15日

叱る力

第11回「叱る力」

皆さんは部下を叱っていますか。それとも怒っていますか。
先日、あることで六年生の長男を激しく怒ったことがありました。そのあと冷静になって考えてみると、果たして自分の意図は伝わったのかなと不安になりました。今回は叱る力について考えてみたいと思います。

怒ると叱るの違い

怒る、というのは、意識は自分に向いています。自分の感情を相手にただぶつけているだけです。一方、叱るというのは、意識は相手に向いています。相手を正しい方向に向かせるため、何がいけないのかを「気づかせる」ことです。
長男が何をしたかというと…インスタグラムで親のアカウントを使って勝手にフォローをしたのです。フォローくらい、と思うかもしれませんが、我が家では、アカウントはあくまでも人のもの。それは尊重しなくてはいけないし、勝手にフォローなどのアクションをするのはもってのほかである、と考えています。そして、長男がこれをしたのは二度目。前にも同じことをして、また繰り返したのでさすがに僕も頭に来ました。そして本人に何がダメだったかをノートに書かせたとき、「インスタをしない」と書きなぐったのをみて、「そんなことを言っているんじゃない!」とさすがに堪忍袋の緒が切れて、怒りが爆発しました。きっとあるあるで、似たようなことが皆さんのご家庭でもあるのではないでしょうか。

失敗は貴重な経験

失敗、という出来事はとても貴重です。なぜなら、動いていないと失敗は経験できないからです。すべてを恐れ、何もしないでいる人には失敗を経験することはなく、そこからの学びもありません。
上司、親などの上の立場からすると、「前にも言ったのになぜまた同じことをするんだ」「こいつは何もわかってない」という怒りが先行し、なかなか叱るモードに移れないのが実際のところでしょう。しかし、失敗からどれだけ多くのことを学ばせることができるかは、それこそ上司や親の力量にかかってきます。
今回でいうと、僕が怒りに任せて、なぜ勝手にフォローしてはいけないのかを伝えたのですが(二度目です)、きっと長男にしてみれば、怒られるモードになった瞬間に耳が閉じ、何を言っても入っていかない状態になっていたと思います。その証拠に、何を言っても「うん、うん」とただ受け流す返事になってしまっていたからです。

答えを言わない。問い続ける

「アカウント勝手にフォローしたら、もし相手に悪意があったらさ…」とこっちが説明してはいけないのです。「なぜこれやっちゃだめだと思う?」と問いかけ、そこで待つ。本人に考えさせる。失敗からの学びを広げるにはそれしかありません。そして少しでも本人の口から答えの糸口がみえてきたら、「そうだね、そうすると…」と少しだけ答えを付け足してあげる。そうすることで、自分の頭で考え、記憶に残っていくのだと思います。そして、「パパはこのことすごく大事だと思っているのに、それを伝わらないのがものすごく腹立たしいんだよ」と気持ちを言葉にして伝える。そのほうが相手には響くはずです。怒りや感情をぶつけられると、自分を守ろうとして一切の情報が遮断されてしまうからです。

さて、皆さんの職場でも日々部下が間違いをおかすことがあるでしょう。しかも二度目とくると、さすがに怒りたくもなります。そんなときこそ、「この失敗からどれだけ相手が学べるか、その学びの量を握っているのは自分次第だ」ということを思い出し、失敗をうまく学びにつなげていけるよう、自分と対話してみてください。感情のコントロールは難しい。しかし、自分のレベルアップのためには、する価値のある作業だと思うのです。

【叱る力】

  • 怒るは自分の感情の爆発。叱るは相手の成長を願う
  • 失敗は動いていないと経験できない。そこから何を学べるかは上司の力量次第
  • 答えを言わない。問い続ける

川村透

川村透

川村透かわむらとおる

川村透事務所 代表

「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…

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