これまで11回にわたり、目標を達成するためのチームについて考えてきました。またコラムを書きながら多くの企業で研修を行い、それぞれのチーム作りの現場を垣間見てきましたが、その中で気づいたことがいくつかありました。
まずチームづくりがうまくいっている会社は、「トップ自らがチームづくりの大切さをわかっていて、それに対してお金と時間と労力をかけている」ということ。逆にうまくいっていない会社は、決まって、この一見数字に直結しないタスクに価値を見出していないか、その必要性を認識しながらも何も策を打っていないのが現状です。
新幹線の清掃で一躍脚光を浴びた「株式会社JR東日本テクノハートTESSEI」で、現場の力を引き出した矢部輝夫さんは「チームづくりはトップダウンで始まりボトムアップで終わる」と自著の中で述べられていますが、まさに含蓄のあるお言葉です。私の研修に参加される多くの方は、チームづくりの必要性を痛感している現場の方なのですが、皆さん口をそろえて「うちの社長に受けさせたい」とおっしゃる(笑)。こうした社長の意識を変えるのは簡単ではありませんが、社長にチームビルディング研修を見せたり、他社の成功事例を紹介したりして、その必要性を理解してもらうことが何より重要です。
二つ目の気づきは、いまや「チームづくりは、組織が目標を達成するための絶対必要条件である」ということです。一昔前は、社員旅行、運動会、飲み会、スキーツアーなど、いろいろな行事を通じて上司や仲間との人間関係もある程度は作れていました。なので、上司にあまりチームづくりのスキルがなくても、人間関係の土壌は耕されていたので、ある程度はうまくいっていたのです。しかし、最近は情報技術が発達し、仕事上でも面と向かって話す機会も減りました。個人のプライバシーが尊重され、ワークライフバランス、~ハラスメントといった一見個人を守るというメリットの反面、人間関係が非常に作りにくくなっている。そんな中で、上司になった側もどうコミュニケーションをとっていいかわからず、そのためのスキルも教ええてもらえず、途方にくれているマネジャーが多いのです。
そんな状況であるいまこそ「チームづくり」というタスクを仕事のひとつとして認識し、時間をとって取り組むべきです。この連載で紹介してきた様々な「チームづくり」のメソッドは、いわばこれまで何となくできていた経験則を体系化したものですから、これを実施することで、マネジャーのスキルに関係なく、だれでもチームづくりに必要なステップを踏んでいくことができるのです。しかし、実際にマネジャーは日々の仕事や調整に追われ、そんな時間はないというのが本音でしょう。ですので、できれば社内に人事課、総務課と同様、「チームづくり課」という部署を置くのが理想です。そしてそのメンバーが各部を回って、社長やマネジャーと協力しながら、人同士を融合させチームワークが機能するのを横からサポートするのです。社内にこういう機能持つ部署が作られる時代に来ていると感じています。
さて、このコラムのテーマは年毎に「モチベーション、チーム」と進んできましたが、次回のテーマは「現場を生かすマネジメント」です。メンバーをトップダウンで抑えつけ、恐怖政治的、半強制的に管理するのは簡単ですが、これでは現場は生かされず、みなイヤイヤ仕事をするばかりで、現場の自主性や創造性などは発揮されません。人の力を引き出し、現場がイキイキとしている職場をつくるためにも、現場を生かすマネジメントを一緒に学んでみませんか。引き続きご愛読のほど、よろしくお願い致します。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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