第7回「Z世代の人たちは仕事をしないのか?」
いま、職場でZ世代の人たちとどう接すればいいのか多くの上司たちが悩んでいます。
彼らの価値観とは私たち昭和の世代とどれだけ乖離しているのでしょうか。今回はある情報サービス系企業で働く25歳の男性にインタビューをした結果をふまえて、私が感じたことを書いてみたいと思います。
Z世代とは、おおむね1990年代終盤から2010年代序盤に生まれた世代を指し、いま職場にいる若者に当てはめるなら25歳以下の人たちがこのZ世代に当たります。
Z世代に持つ私の勝手なイメージは:
- 仕事は割り切っている。プライベートも大事
- 言われたこと以上はやらない
- 仕事以上の付き合いはしたくない
とこんな感じでした。今回インタビューに応じてくれたH君は入社1年目の26歳(事情があり、新卒の年齢より少し上ですが)。まず私が質問をぶつけていきます。
私「H君は、言われた以上のことはやるタイプ?」
H「はい、自分がここまでやっておきたいと思うところは、土日でもやってしまうタイプです」
私「上の人となるべく話したくない?」
H「いえ、そんなことはなくて。むしろ自分からドンドン話しかけていっちゃいますよ」
あれ、なんだか思った答えとは違います…
私「H君は飲み会とか誘われたら行く?」
H「はい、行きます」
僕の描いたZ世代像はことごとく裏切られていきます。これはどうしたことでしょう。よくよく話を聞いてみると、いくつかのことが見えてきました。
まず、H君は仕事がとても面白いと思っていること。彼が働く会社では、1年目の新人から仕事を任せています。自分がやらないとどうにもならないという状況の中、責任感を持って業務ができるため、やりがいを感じられるのだと思います。
そして二つ目に大事なことは、H君は上司を尊敬していること。H君は入社時に面談を受けた上司の姿勢(話をとても聞いてくれる)に感動して入社を決めたほどで、そのほかの上役との人間関係もとてもよく、よい関係を築いています。飲み会のことについて聞いてみると
「飲み会に行きたくないわけではないのですが、尊敬できない上司と行くことはためらいを感じます」
と言われました。
これは歯に衣着せぬもっともな意見だと思います。そういう私も、昔サラリーマン時代、人として尊敬できる上司とは話もしたかったし飲み会も苦になりませんでしたが、そうでない上司との飲み会は気乗りがしなかったのを思い出しました!
また、上司はどうするべきかとの問いには
「急に仕事のときだけ馴れ馴れしく来られても戸惑うだけ。ふだんからもっと気さくに話しかけてきてほしい」
といいます。よく昭和の頑固一徹オヤジさながらに、“話しかけてくるな”オーラを出している人、いますよね。そういう人は上司失格だということです。
今回のインタビューから見えてきたこと。
- 世代と世間は言うが、それで今の若者を全部まとめることはできない。傾向としてはあるかもしれないが、個々はケースバイケースである
- 仕事に対して情熱がないわけじゃない。仕事の裁量権を持たせて任せれば、言われたこと以上のこともやる
- ふだんの人間関係が大事。急に近寄って来られても戸惑うだけ
- 人として尊敬できる上司には進んで関わりたいと思っている
H君の答えを受けてまず感じるのは、上司である私たち側が「進化」しなければならないということ。我々昭和の世代は、若いころ、多くは仕事をただ言われるままにやったかもしれせんが、今の人たちにはそのやり方では通用しません。その仕事の意図、理由をちゃんと説明できること。また人として尊敬できない上司でも年功という言葉がまだ光を放っていた時代は部下も従ってきましたが、いまは誰もついてきません。うわべは聞いているように見えても心の中では軽蔑されているでしょう。新しい価値観の中で育ってきた人たちに受け入れられるよう、私たちが進化しなければならないのです。
【まとめ:Z世代の人たちは仕事をしないのか?】
- 仕事がおもしろく責任を任せれば仕事はすすんでやる
- ふだんからの人間関係があれば仕事の話もしやすい
- 人として信頼、尊敬される上司になるよう、上司側は進化しなければならない
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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