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2024年11月18日

イノベーションの起こし方

第8回「イノベーションの起こし方」

イノベーションとは「改革、革新的」という意味です。現状をベースによりよいものに変えていくカイゼンではなく、パラダイムシフト(枠組みの転換)のように大きく物事が変わることがイノベーションです。イノベーションにはいくつかの方法、特徴がありますが、前提条件をすべて整えればイノベーションが生まれる、というものでもありません。私たちにできるのは、過去のイノベーションの事例を振り返って、どんな共通要素があるのかを調べることです。今回は私なりに、イノベーションが生まれるときの特徴を3つほど挙げてみます。

異なるものとの交わり

3Mで生まれたポストイットの開発物語はとても有名です。この話のポイントは、その技術の開発者と、製品のアイデアを思いついた人が別だということです。技術を開発したのはスペンサー・シルバーという研究員。彼は強力な接着剤の研究を行っていて、たまたま出来たのが「よく付くけど、すぐにはがれる」接着剤でした。ここで終わっていたら、ポストイットは生まれなかったのです。大事なのはこのあと。同社のアート・フライという研究員が、これを「讃美歌集のしおりとして使ったらいいのでは?」と思い付いたところから、ポストイットという商品が生まれたのです。他の人との交わりがあって初めて生まれたものですね。ここからわかるのは、自分だけで抱え込むより、いろんな人の意見を聞いたほうがイノベーションの可能性は高まるということです。

他の物をもってくる―スライド

ほかの場、業界、国などですでにあるものを、まったく別の場面にもっていくことでイノベーションが生まれることがあります。いま地方に行くと道路脇に「道の駅」があり、その地方の特産物やおいしい食べ物などがあってとてもにぎわっていますが、これも元は高速道路にあったサービスエリアのようなものを、一般道にもってきてもいいよね、というところから生まれたものです。また道路をある一定の速度で走ると、音楽が聞こえる溝が彫ってある道路がありますが、これも楽器の発想を道路に持っていったものです。これにより道路をゆっくり走るようになっているようで、とてもよいイノベーションですね。

制約なきところにイノベーションなし

自由に発想してみて、と言われるとなかなかアイデアが生まれませんが、「この条件の中で考えて」と言われたほうが逆に発想がしやすくなります。数年前私たちが経験したコロナ禍(パンデミック)は、とても大きなイノベーションをもたらしました。一番の成果は「リモートワーク」という働き方でした。それまでは「対面じゃないと仕事になんかならない」とほぼ全員が思っていたのが「リモートでもほとんどのことはできる」というふうに変わったからです。これはものすごいパラダイムシフトだったと思います。おかげで働き方も変わり生産性も高まり、多くの人のQOLは高まったはずです。また多くの新しいビジネスアイデアが生まれました。これも「人と人が会えない」という絶対譲れない制約があったからこそ、どうしたら非対面でビジネスができるかを考えた結果だったと思います。

新しいアイデアには反発がつきもの

イノベーションを起こすときには、必ずといっていいほど周りの反発があります。人はこれまでの習慣を変えたくないので当然の反応です。ここで大切なことは変えたいと思う人の信念です。どんな困難や逆風にあっても、そのアイデアを思い続けること。それがやがて固い岩にも穴を開けるのです。もし皆さんがイノベーションを起こそうと思ったら、少し反対されても負けないでください。必ず果実を結ぶときがくるでしょう。

【イノベーションの起こし方】

  1. 異なるものとの交わり
    自分だけで抱え込まず、周りを巻き込もう
  2. 他の物をもってくる―スライド
    ほかでうまくいっているものを持ってこよう
  3. 制約なきところにイノベーションなし
    制約こそアイデアの母である

川村透

川村透

川村透かわむらとおる

川村透事務所 代表

「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…

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