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第9回「キャリアの作り方~自分のやりたい仕事の見つけ方、転職について」
さて今回は自分のキャリアの作り方です。キャリアプランニングについては、過去に『やりたい仕事の見つけ方』(ディスカヴァー、川村透訳)という本を翻訳したことがありますので、良かったらそちらも参考にしてください。
好きなことを仕事にすべきか否か
仕事の選び方で一番よくあるのが「好きなことを仕事にすべきか否か」、というものです。好きだからこそ仕事にしてもできる、という人と、仕事にしたら苦しくなるからしないほうがいい、という人もいます。
また、何かの野球などのスポーツ選手になりたくても、それが叶わなかったらどうしようという人もいます。この手の質問が来たときよく答えるのが、「好きなことを続けたら?」ということです。
もしプロ野球選手になりたくて、その夢が叶わなかったとしても、その周りで関連する仕事はたくさんあるはずです。野球が好きなら、野球選手になれなかったとしても、球団の運営に携わったり、選手が使う用具の会社に入ったりと、なんらかの繋がりが持てる仕事を選ぶ、というのもいいですよね。
最近の若い人たちの仕事選びは、特にこうした傾向が強くみられるように個人的には感じています。
私の場合はどうだったか?
私は子どもの頃は「この仕事がしたい」という思いはまったくなく、就職活動時まで迷っていました。ところが大学4年の頃、大前研一さんというマッキンゼー社のコンサルタントが『企業参謀』という本を出し、一躍有名になりました。自身の知恵を武器に一企業を動かす、そんな仕事にあこがれ、コンサルティング会社をいくつも受け、システムコンサルティングをするという会社に入りましたが、答えがソフトウエアというところが面白くなく、30代前半に辞めてしまいました。そこからアメリカである本に出会い、それを翻訳したのをきっかけに独立をし、自分の事務所を立ち上げました。その後、講師サイトに登録し、研修講師の道を歩み始め、いまに至ります。この間、英語スクールの講師をしたり、本を翻訳出版したり、色々なことも経験しました。
いま振り返ってみて思うのは、自分がしたいことは「自分がいいと思うものを作って、それを人に伝えたい」ということです。考えてみれば、企業コンサルタントも「自分の考え」ですし、翻訳も「自分がいいと思った考え」です。そして、いまやっている企業への講演・研修活動も、いただいたご要望について「自分が良い」と思ったコンテンツを作り、それを伝えているわけですから。伝えた結果、受け手に喜んで頂いたときにはとても嬉しく、やりがい生きがいを感じることができています。
こうしたものは「自分の軸」となります。自分がいろいろやってみて、面白い、やりがいがある、と感じる経験や仕事がいくつかあると思います。それらに共通するものが何か、考えてみることをお勧めします。それが見つかると「自分はこういうことにやる気が出るんだな」と腑に落ち、仕事を選ぶ際にもそれに従って選択すれば、大きな間違いはないはずです。
転職するならプラスの理由を
転職することは大賛成です。ただその際の理由はあくまでプラスのものであるべきです。自分のなかで「今の仕事がおもしろくない、ほかのほうが給料がいい」という理由しか思いつかなかったら、動くのは少し待ったほうがよいでしょう。
もし、自分がいまの仕事をやりきった、いまの会社に十分に貢献できた、給料以上の価値を生んでいると思えるのなら、転職のタイミングかもしれません。次のステージにチャレンジするときが来たのですね。ネガティブな理由しか出てこなかったら、また次の会社でも同じことの繰り返しになります。
また転職する際、いまの自分がやっている経験が生かせる転職先を探していくほうが自分のキャリアの幹はだんだんと太くなっていきます。これまでのキャリアの経験がまったく生きないような仕事の選択には慎重になったほうがよいでしょう。もっともそれを承知の上で、再度キャリアをリスタートする気持ちがあるのならそれもOKです。
仕事の選び方に正解はありません。自分が納得できる選び方をぜひ見つけてださい。
【キャリアの作り方】
- やりたいことを仕事にしてもよい
たとえ選手になれなくても、その周りに関連する仕事がたくさんある - 自分の軸を見つけ、それに従う
私の場合「自分が作り出したものを人に伝える」ことが軸。それに沿った仕事なら楽しくできる - 転職するならプラスの理由を
今の仕事をやりきった、十分に貢献できていると思えるなら転職のタイミングかも
不満やお金面だけで転職すると、また同じことが必ず起きる
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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