第11回「お悩み相談室(後半)~若手ビジネスパーソンからの質問に答えます」
前半、後半にわたって、若手ビジネスパーソンからの質問にお答えしています。さて今回は後半です。
(4)「実は上司の方々も、若手とどう接していいか悩むことはあるのでしょうか?」
もちろんです。上司から見れば、若い人たちは「価値観が違うので話が合わない」「すぐハラスメントだと言われ、話しにくい」「少し強く言うと来なくなってしまうので、ガラス細工を扱うようだ」など、近づきたくとも近づけないように感じている40‐50代の方が多いです。上の人からしてみたら、そんな思いのなか、若い人たちのほうから話しかけてくれるなんて、嬉しいに決まっています(笑)。まるで反抗期の子供から話しかけられるような感じですね。その際、相手によっては、昔ながらのカタチー言葉遣い、年長者を敬う気持ち、などを気にする人もいるので、その際は馴れ馴れしすぎず、適切な言葉遣いで。話す内容は、私なら仕事の相談、アドバイス、過去の経験などを聞いてくれると話しやすいかもしれません。
(5)「上の世代の方々が若手だったころの職場と、今の職場はどう違いますか?」
今と昔で、職場は大きく変わりました。昔は無駄で非効率なことも多かったですが、その分先輩との交流時間もたくさんあり、自然とよい関係性が作れた気がします。昼はほとんど連れだって近くの定食屋などへ行き、食後にはコーヒーを飲んだり。休みの日には先輩とツーリングに行ったり、冬には会社のイベントでスキーに行ったり。残業も普通にあり、先輩と飲みに行くのも良くありました。お酌をするのも当然といった感じでした。いま思えばこのお酌とかもあり得ないと思いますが、当時はそうすることが当たり前だと思っていたので、疑問すら感じませんでした(笑)。昔のよかったところは、こうした先輩たちとの仕事以外の場面で時間を多く過ごし、いまやっている仕事の背景、会社の事情、ひいては裏話まで、いろいろな情報に触れることができたことです。いまはこうした時間がほとんどなく限られた情報のなかで仕事をしなくてはならないのはある意味面白みがないかも、と感じています。
(6)「上の世代の方々は、これまでのキャリアの中で何を大切にされてきましたか?」
伝えたいことが2つあります。
ひとつは、「自分ごととして仕事をする」こと。30代半ばで会社を辞めたあと社長一人僕一人の小さな旅行企画会社にお世話になっていたことがあります。そこで社長の書いた手書きの行程表をパソコンに打ち込む仕事をしていました。あるとき、社長の書いた通り入力して印刷したとき「かわむらくん、これ数字が違っているの気づかない?」と怒られました。私はキョトンとして「気づきません」と答えました。だって僕の仕事は、社長の書いた通り入力することなのです。そこで社長に諭されました。「いいか、もし自分が行くとしたら、この距離でこの人数のバスを動かしたら、こんな数字になるわけないだろ。ただ数字だけみるんじゃなくて、自分が当事者になったつもりで数字を見るんだ。それが仕事ってもんだ」私はガーンと頭を殴られた思いでした。この一件から、どんな仕事も「もし自分がするとしたら」という視点でするようにしています。
2つ目は「自分から仕事をつくる」こと。社会人になった頃は「言われた仕事をきちんとこなしていれば評価される」と思っていました。しかし実際評価されているのは、自分で仕事を作り出し、それを提案するような同僚でした。言われた仕事をするのは当たり前。それ以上に、自分から全体を見渡し、問題点や課題を見つけてそれをカイゼンしようとしてみる。また許される範囲で自分のオリジナリティを入れて仕事を完成させる。そうして取り組めば、仕事は面白いし、また周りからも評価されるようになっていくはずです。
以上、2回にわたって若い人からの質問に答えてみました。参考になりましたでしょうか。さて、次回は「若手ビジネスパーソンの教科書」最終回です。どうぞお楽しみに。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…