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コラム 政治・経済

2006年01月01日

勇気ある人々

 光陰矢のごとし、いよいよ師走に入り今年も終わろうとしています。
政治に激しい動きが見られた年であり、自民党が立党50周年を迎えた年でもあり、この一年を振り返って、深い感慨にとらわれています。

 今まで幾度も申し上げたとおり、わが国は、自国の歩むべき道を自らの頭で判断しなくなってしまったことを、私は深く危惧しています。

 日本政府は、アメリカから、毎年日本に突きつけられる年次改革要望書(※詳しいことは、在日アメリカ大使館のホームページ上に記載されている「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」をご覧ください)を、国民や議会に全く公表せずに黙々と受け入れるようになっていたことを知り、愕然とし、この流れをとめなければならない…と私は決意しました。

 わが国の経済・金融の責任者である竹中氏が目指す路線は、グローバライゼーション(国際化)の美名の下に、単なるアメリカナイゼーション、すなわちアメリカの価値観や基準を国柄・国民性も違う日本に押し付けるにすぎないと認識しています。この政策を真に日本国の発展の為に大転換すべく立ち上がるときがきたと考えています。

 私は、郵政民営化の流れに反対したのではなく、今回提出された郵政民営化法案が、まさにザル法で、郵貯・簡保の350兆円がアメリカの巨大金融資本に奪われてしまう可能性が極めて大です。そうされない為には、『外資は郵便貯金銀行の株式の20%までしか買えない』『持ち株会社の日本郵政株式会社は、保有資金の20%しか外国債券を取得できない』というような、いわば歯止めをかける条文をきちんと入れるべきである…と主張しましたが、受け入れられませんでした。

 解散の前は、『日本国民の虎の子である郵貯・簡保のお金を、アメリカの金融資本に無防備に差し出すことを止めることから反撃の狼煙をあげよう』と多くの自民党の衆参両議員が賛同してくれていました。

 しかしながら権力側の弾圧や解散に怯え、次々と脱落していった仲間を見るのはとても辛いことでありました。加えて、実際になされた解散で多くの有為な仲間が落選してしまったことは日本国にとって大きなマイナスだと思います。

 そんな折、先日、母校の日比谷高校の同期会が開かれ、多くの旧友から慰めの言葉を頂きました。そのなかで印象に残ったのが、『自己の信念と信条の為に闘った政治家たちの姿を思い起こして、これからも勇気を持って日本国民の為に頑張ってくれ』と、旧友に言われたことです。

 それを聞いて、青春時代に憧れたケネディ大統領の若き日の著作、『勇気ある人々』(ピューリッツア賞受賞)で描かれた勇気ある政治家達のことがふと思い出されました。
早速家に戻って、若かりし頃に熟読し、感銘を受けたこの本を再び紐解いてみました。

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● 政治は、勇気に特殊な試練の土俵を提供するに過ぎない。人生のどの領域でも勇気の試練に遭遇するものだが、良心に従えば、直面する犠牲が何であろうとも、友人や財産を失い、仲間の尊敬さえ失っても、進むべき道を決断しなければならない。

● 勇気ある者でなければ、強力な敵との戦いにおいて、生き抜くために必要な、困難にして不人気な決定などできない。

● 真の民主主義とは、その主義に対する貢献のために不人気な方向をたどった人物を非難しないだけでなく、その勇気に報い、高潔さを尊敬し、最後に正しさを認める信念を植え付けることである。

● 国民が政治的勇気を妨げ、政治家に良心の放棄を強要している恐るべき圧力は、安易な道を選ぶ者には寛大である。
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特に感銘を受けた言葉をここでご紹介しながら、私自身もこの言葉を噛みしめて新たな年を迎えたいと思います。

小林興起

小林興起

小林興起こばやしこうき

元財務副大臣

<ご本人からのメッセージ> かつて郵政民営化法案に反対して、自民党を追放されたが、この法案は米国の要求であることが今なお国民に全く知らされない中で、ますます米国への隷属化が進む。その根底に戦後70年…

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