企業がSDGsに取り組む大きな目的は企業ブランディングの向上であり、さらには業績アップが望まれるところです。SDGsに取り組む企業は多種、多様です。今回はBtoC業界のSDGsの取り組み例として、化粧品製造販売業界、およびアパレル業界のSDGsの取り組みにふれてみます。
BtoC業界におけるSDGsの取り組み
企業におけるSDGsの取り組みを大きく3つに分けると、以下のようになります。
- 企業が行う事業活動(本業):企業は社会の公器。企業が行う事業全てがSDGsに含まれる
- 企業が取り組む社会貢献活動:地域貢献、地域共生、環境保全活動など
- 企業が取り組む社内的活動:人事、労務関係全般、職場環境の向上、ジェンダー問題への取組みなど
業界や企業規模によって、企業のSDGsの取り組み方も異なってきます。今回は化粧品製造販売業界とアパレル業界を例にとって、BtoC業界のSDGsの取り組みをみてみます。
BtoC業界とは、商品やサービスを直接個人に提供する業界とします。SDGsは17の目標を持ち、取り組むことができる対象は多数あります。業界ごとに、また個々の企業ごとにビジネスの取り組み方は多様です。BtoB業界の大企業は、社会的な大きな課題に取り組む場合が多いです。BtoCの企業は、消費者が直接納得してもらえるようなSDGsの目標に取り組むことになります。消費者は身近に重要と感じるSDGsの目標に敏感であり、共感します。
化粧品製造販売業界のSDGsの取り組み例
化粧品製造販売のA社では、より責任ある持続可能なビジネスモデルを目指して、「地球」「人々」「製品」という3つの主要分野に焦点を当て、SDGs推進に向けた取り組みを立ち上げ、目標達成のために様々な取り組みを行っています。A社は、模範となるために全力を尽くすことをコミットメントとして掲げています。そして、日本における環境・社会課題解決への貢献のために、A社は、「目標5 ジェンダー平等」「目標12 持続可能な消費と生産」「目標13 気候変動」「目標17 グローバル・パートナーシップの活性化」を重点課題として、持続可能な社会実現のためのサステナビリティ活動を推進しています。
同じく化粧品製造販売業のB社の取り組みは次の通りです。社会的課題として、「目標5 ジェンダー平等」「目標11 住み続けられるまちづくり」「目標17 グローバル・パートナーシップ」、経済的課題として、「目標3 すべての人に保健と福祉を」「目標8 働きがいも経済成長も」「目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう」、環境的課題として、「目標12 つくる責任つかう責任」「目標14 海の豊かさを守ろう」「目標15 陸の豊かさも守ろう」をあげています。
化粧品製造販売業のC社の取り組みは次の通りです。C社のサステナビリティ・プランで定めている6つの取り組みテーマは、「アダプタブルな商品・サービスの提供」「美しく健康的で幸せな生活サポート」「ジェンダーにとらわれず活躍できる社会への貢献」「ビューティを通じた環境課題への貢献」「事業地域の環境保全」「事業活動全体での環境負荷低減」です。
化粧品製造販売業界全体で言えることは、SDGsにおいては消費者の関心が高い環境問題への取り組みが中心になっています。
アパレル業界のSDGs
次にアパレル業界のSDGsの取り組みを考えてみます。重要なテーマとしては、1.適量生産、適量購入、循環利用の促進を行い、廃棄を減らして循環型の生産へ、2.海外の農家や工場における労働環境を整備して、労働者の人権や健康を守ること、3.古着や端材、資源を有効活用して、サステナブル素材の積極的な採用を行うこと、4.限りある天然資源を守るために、環境に配慮した原材料の栽培と調達を行うこと、などがあげられます。
アパレル業界で循環型モデルの実現に向けた取り組み例として、生産過程で廃棄される繊維を減らすこと、色落ちしにくい染色技術や、ほつれにくい縫製技術などの開発すること、再利用しやすい素材選びや、分解しやすいデザインを行うこと、単一素材での商品開発を行う、古着を回収しやすい仕組みづくりの開発をすること、アップサイクルへの取り組みを行う、修繕サービスの拡充図ることがあげられます。
アパレル業界のSDGsの取り組み例
アパレル業界のD社は「よい服をつくり、よい服を売ることで、世界をよい方向へ変えていくことができる」と考えています。そのため、D社はSDGsの中の環境分野における5つの注力領域、すなわち、気候変動への対応、エネルギー効率の向上、水資源の管理、化学物質の管理、廃棄物削減と資源効率の向上で環境問題の解決に取り組んでいます。実際の環境負荷を考慮した商品開発の具体例としては、服から服へのリサイクルを目指し、全商品をリサイクル、リユースする取り組みを行っています。
次に、アパレル業界のE社のSDGsの取り組みは以下の通りです。E社は積極的にSDGsを支援しており、中でも、「C」から始まる3つのテーマを中心にアパレル業界視点で個性を生かした取組を行っています。3つのテーマについては次の通りです。衣類資源の有効活用(Clothing Innovation)、地球環境負荷の軽減(Clean Earth)、コミュニティの形成(Community Building)の3つです。
アパレル業界も、やはり消費者の関心の高い環境問題への取り組みが重要なテーマになっています。
環境問題の取り組みとしては、自然保護、省資源、省エネや3Rによる資源リサイクル、廃棄物の適正処理に積極的に取り組むことが望まれます。
今回紹介しました例のように、SDGsの中で消費者が期待する活動を行い、企業が消費者と共に歩み、結果として企業の更なる発展が遂げられることを期待致します。
進藤勇治しんどうゆうじ
産業評論家
経済・産業問題、エネルギー・環境問題、SDGs、コロナ問題をテーマとした講演実績多数! 経済・産業問題やエネルギー・環境・災害問題、SDGs、コロナ問題などについて最新の情報を提供しつつ、社会…
政治・経済|人気記事 TOP5
中小企業の生き残り戦略~鯖江の眼鏡業界の挑戦~
岡田晃のコラム 「今後の日本経済-岡田晃の視点」
インフレ
藤田正美のコラム 「今を読み、明日に備える」
日本の農業保護政策
進藤勇治のコラム 「進藤勇治の産業・経済レポート最前線」
ロシアのウクライナ侵攻と日本経済への影響
進藤勇治のコラム 「進藤勇治の産業・経済レポート最前線」
将来を見据える
藤田正美のコラム 「今を読み、明日に備える」
講演・セミナーの
ご相談は無料です。
業界21年、実績3万件の中で蓄積してきた
講演会のノウハウを丁寧にご案内いたします。
趣旨・目的、聴講対象者、希望講師や
講師のイメージなど、
お決まりの範囲で構いませんので、
お気軽にご連絡ください。