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2024年12月05日

備えはできていますか、逼迫性の高い4つの地震

2024年1月1日に能登半島地震が起きました。振り返ってみますと、1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震など、近年日本では大きな地震が起き、甚大な被害が出ております。近い将来に発生可能性があり、政府により切迫性が高いとされている大規模地震には、南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震、首都直下地震、中部圏・近畿圏直下地震があります。
中でも、関東から九州の広い範囲で強い揺れと高い津波が発生するとされる南海トラフ地震と、首都中枢機能への影響が懸念される首都直下地震は、今後30年以内に発生する確率が70%と高い数字で予想されています。今回は今日本で切迫性が高いと思われている4つの地震についてふれます。

首都直下地震

地球上において、陸地はプレートの上に乗っています。地球内部のマントルの動きによりプレートは常に移動しています。火山性の地震などを除くと、地震のほとんどはプレートが動くことにより起こります。南関東の地域には、太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレート、大陸プレートの4つのプレートが近接しています。従って、南関東地域の地下は複雑で、様々なメカニズムによる地震が起こります。
東京を含む南関東域で30年以内にM7クラスの地震が発生する確率が70%程度と、2017年1月に予測が出されています。南関東地域では、1703年の元禄関東地震(M8.2)と1923年の関東大震災(M7.9)が起こりました。関東南部の沖合には相模トラフがあり、南からフィリピン海プレートが沈みこんでいます。元禄関東地震と大正の関東大震災は、いずれもこのプレートの境目の相模トラフで発生した巨大地震で、関東大震災は首都直下型地震ではありません。
元禄関東地震と関東大震災の間の220年間に直下型の大きな地震が8度起きています。二つの巨大地震の間は前半の静穏期と後半の活動期に分かれます。関東大震災から約100年経った現在、これからは活動期に入ると思われます。過去の地震発生の記録を振り返りますと、東京を含む南関東地域では、今後10年~20年ごとに大きな地震が発生する可能性があります。
首都直下地震が起きますと最悪の場合、死者はおよそ23,000人、経済被害はおよそ95兆円に達すると、国は想定しています。

南海トラフ地震

南海トラフ地震については、30年以内にM8~M9クラスの地震が発生する確率が70%程度と、2017年1月に予測が出されています。南海トラフ地震は、フィリピン海プレートと大陸プレートとのプレート境界の沈み込み帯である南海トラフ沿いを震源域とする巨大地震です。約100年〜150年に1回の間隔で発生しており、時に超巨大地震となることもあります。南海トラフでは昔から東海地震、東南海地震、南海地震の3つの大地震が繰り返し発生しています。
南海トラフ地震は海溝型地震で、2011年の東日本大震災と同じメカニズムの地震です。フィリピン海プレートが大陸プレートに毎年3~5cmの速さで沈み込んでいます。この沈み込み部分に形成されているのが南海トラフです。南海トラフは静岡県沖から高知県沖まで続いています。
最近発生した南海トラフ地震は、1944年の東南海地震、1946年の南海地震です。地震発生の周期が約100年〜150年ですから、今後30年以内に地震が発生する確率が高い事もうなずけます。なお、南海トラフ地震のシミュレーションでは、最初の地震の発生から1年間で失われる企業の生産額の総額は約134兆円にのぼるという試算があります。これは東日本大震災の10倍です。

日本海溝・千島海溝周辺地震

太平洋プレートが毎年8cmの速さで動いており、北米プレートの下に沈み込みます。このようなプレートの活動により、日本列島の東部の海域には日本海溝が形成されています。日本海溝に続く北海道沖の海溝は千島海溝と呼ばれ、千島列島沖に続きます。
岩手県沖から北海道沖の日本海溝・千島海溝周辺において、巨大地震の発生が想定されています。想定される被害は次の通りです。最大津高約30m、最大死者数約199,000人で、低体温症での死亡リスクが高いと想定されています。
日本海溝・千島海溝周辺で起こる巨大地震については、今後30年以内の発生確率は7%から40%と想定されています。

中部圏・近畿圏直下型地震

中部圏・近畿圏では過去に1891年の濃尾地震、1948年の福井地震、1995年の阪神淡路大震災など、直下型の大地震が発生しています。いずれも、活断層型の地震です。現在、中部圏の猿投-高浜断層帯の地震、および近畿圏の上町断層帯の地震が逼迫性の高い地震とされています。
愛知県の猿投-高浜断層帯の地震の予測される被害として、建物全壊棟数(冬昼12時、風速15m/s)が約30万棟、死者数(冬朝5時、風速15m/s)が約11.000人という想定試算があります。
大阪市の上町断層帯の地震の予測される被害として、建物全壊棟数(冬昼12時、風速15m/s)が約97万棟、死者数(冬朝5時、風速15m/s)が約42,000人という想定試算があります。
日本には無数の活断層が存在します。自身が住んでいる地域にどのような活断層があり、その平均活動間隔や最新活動時期地などのデータは、「震調査研究推進本部」のホームページに公表されています。
活断層型の地震は、地震発生確率が低いとしても、安心はできません。2016年に発生した熊本地震を引き起こした布田川断層帯のM7.0級の地震発生確率は30年以内に1%未満でした。
地下に隠れていて、まだ見つかっていない活断層もあるとされており、大規模な地震が発生する可能性が高いといわれている地域だけでなく、どこで、いつ大きな地震が起きてもおかしくないというのが現状です。

地震に対して万全の警戒と対策を

地震は東日本大震災のような海溝型地震と、阪神淡路大震災のような活断層型地震に大別できます。海溝型地震は大きな津波を伴い多数の人が亡くなり、また住宅やビルなどの構造物が流されたり、壊されたりします。対して活断層型地震は、人口密集地で発生しますと、大都市の直下型地震となり、やはり多数の人が亡くなり、多くの古い建物は倒壊することになります。
最近経験した1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、2024年の能登地震、いずれも発生が予測されておらず、全く警戒をしていない中で地震が起きました。
日本中、どこでもいつでも大きな地震が発生すると考えておくことが必要です。そして、大きな地震が起きたときに被害がどうなるかを想定し、今何をしておくべきか、起きた時にどう対処するべきかを事前に十分に検討しておくことが極めて重要です。こうして、皆様の会社におかれても、事業継続と会社存続を達成されることを期待いたします。

進藤勇治

進藤勇治

進藤勇治しんどうゆうじ

産業評論家

経済・産業問題、エネルギー・環境問題、SDGs、コロナ問題をテーマとした講演実績多数! 経済・産業問題やエネルギー・環境・災害問題、SDGs、コロナ問題などについて最新の情報を提供しつつ、社会…

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