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2006年01月15日

スポーツ中継のいろは その1

いきなりこの原稿を書き出しても、お前は一体誰だ?
と言われるのもナンなので、まずは簡単に自己紹介をする。

私の名前は、久保田光彦。東京都出身のO型で、元テレビ東京(以下TX)のアナウンサー。年齢は49歳(2月で50歳…恐ろしい。)、妻と子供二人と犬一匹の5人家族。酒は嗜む程度、タバコはやらない。ギャンブル・女性関係は不得手(得意になりたいです!)。去年2月に25年間勤めたTXを依願退社。現在は、フリーランスとして、WOWOW等でスポーツ実況を担当している。

掻い摘んで言えばこんなところで、つまりはスポーツ実況アナウンサーというのが私の仕事なのである。したがって仕事柄、(1)スポーツ実況 (2)アナウンス業 (3)しゃべり言葉一般、を少し専門的に勉強してきた。

スポーツ実況でいえば、種目数は20以上、特にサッカー・ボクシング・バスケット・アイスホッケー・陸上は、かなりの実況回数をこなした。だからこのコラムの第一回を飾るにあたっては、スポーツ実況についてその裏側をお話できればと思っています。

まずスポーツといっても多岐にわたっていてさまざまな形態があるが、大きく次の5つに分けることが出来る。1.ボール系競技(サッカー・野球・バスケット等)、2.レース系競技(陸上トラック・水泳・スピードスケート等)、3.格闘技系競技(ボクシング・レスリング・柔道等)、4.採点系競技(体操・フィギュアスケート・シンクロナイズドスイミング等)、5.単独記録系競技(陸上フィールド・重量挙げ・ジャンプ等)である。この中で説明が必要なのは、最後の【5.単独記録系競技】であろう。これは私の造語で、つまり、遠くに飛ばす・高く跳ぶ・重いものを持ち上げるといった単純な行為を、他者と同時に競うのではなく、単独で記録に挑戦する形態のスポーツのことをいう。

スポーツの分類は、団体と個人・夏と冬・室内と屋外でも違うし、まあいろいろあるのだろうが、ではなぜ私がこういうわけ方をしたかというと、勘の良い方ならお分かりでしょう、実は実況中継のやり方とリンクさせているのである。つまり1から5まで、中継スタイル・方法がそれぞれ若干異なっているのだ。

少し横道に逸れる。スポーツ中継の場合、要は目の前で繰り広げられているイベントを映像と音声で描写していくのだが、そのスポーツ中継の成立過程にはこれまた大きくわけて2つある。一つはすでにスポーツイベントとして存在するもの。もうひとつはテレビ局が中心となって、イベントを構築していくものである。

後者の場合、広告代理店と組んで行うことがほとんどで、2月に私が担当する”全日本大学女子選抜駅伝”などその代表例といえる。逆に前者でいえば、この原稿が掲載されるころには始まっているかもしれないが、1月中旬からの”全豪オープンテニス”が良い例だろう。もちろんどちらであっても中継の基本は一緒であることはいうまでもない。(因みに、私も”全豪オープン”の実況でメルボルンに出張します)。

さて。先ほど『イベントを映像と音声で描写していく』と申し上げたが、私は当然音声担当であって、映像は専門外である。がしかし中継で映像の話をしないわけにはいかないので、ざっと撫でる程度に進めてみるが、まず映像は、技術部分と演出部分に分かれている。

技術(ここで言う技術は音声技術も含まれる)は、現場の映像をちゃんとお茶の間に届けることが出来るようにするのが仕事である。電波がちゃんと飛ぶか、カメラは調整がなされているか、機械は正常に作動するか等を確認する。つまりハード。一方の演出は、そのカメラを使ってどういう画を撮るか(あるいは作るか)、いかにイベントを盛り上げるためショーアップをするかを考える。ソフトですネ。

制作サイドは中継のため、事前の下見や打ち合わせを重ね、中継機材をセッティングして、本番当日を待つ。その間スーパーインポーズやCGの発注等があり、場合によっては番組冒頭イントロのVTR編集などの作業が織り込まれる。

映像はざっとこんな具合であるが(後ほどチャンスがあればもう少し詳しく説明したい。)、では私担当の音声(実況)は、どのようにして中継に臨むのか。そこで前出の”全豪オープンテニス”を例にとり、次回のHPでご説明することにしよう。

久保田光彦

久保田光彦

久保田光彦くぼたみつひこ

フリーアナウンサー

立教大学卒業後、東京12チャンネル(現・テレビ東京)入社。スポーツ実況のアナウンサーとして活躍する。1993年にはFIFAワールドカップアジア最終予選、世間に言われるところの『ドーハの悲劇』を実況。2…

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