読む講演会Vol.04
2016年01月25日
No.04 武田双雲 /“読む講演会”クローズアップパートナー
武田双雲
書道家
目次
最初は感覚で教わった。大事なのは、一画目
僕は男ばかりの三兄弟、男子校出身で母親も男みたいな人だったんですね。しかも大学は理科大。だから、今日のような男ばかりの聴衆というのは、よく見慣れた光景なんです(笑)。就職したNTTの部署も男が多かった。川崎で法人営業をしていました。一つ下と9つ下の弟も書道家になりました。僕には今、10歳、7歳、1歳の3人の子どもがいますが、環境が書道教室ですから、筆を持って遊んでいます。僕も1、2歳ぐらいから、たぶん筆を持っていたはずです。ひらがなを習い始めたのは、3歳くらいからです。最初は楽しんで遊びでやっているものが、母親も少しずつ僕を洗脳していくわけですね。
僕は本名を、たけだだいち、というんですが、ひらがなでは「た」が三つ付くので、「た」だけを集中的にやらされたんです。母親は理論ではなくて、感覚で教えるんです。そして大事なのは、一画目なんですね。感覚的に伝えられて、やっていたんです。今日は、製造業の皆さんですから、モノづくりの専門家です。ものすごいスピードで機械を作ったりすると聞いたんですが、おそらく似ている気がします。バーンじゃなくて、スッと置く、みたいな表現で、スピード感って感覚的に伝えられるんじゃないですか。無駄をいかにゼロにするか、も書道と一緒だと思います。無駄な動きを極限まで減らすんです。皆さんもそういう世界に生きているじゃないですか。
僕たちは修業の一環として、米粒に何文字も書かされるんです。あいうえお、とか書いて、と。今だったらスッと書けますが、小さいころはそうはいかない。でも、筆ペンとか持たされてやらされました。とめはねとか、超きれいなんですよ。似たような世界なのかなと思いました。
そういうスパルタの母親のもとに僕は育ったんですが、明るくやっていました。それで小学校のとき、転機がやってくるんです。ひらがなの「た」に関しては、母ちゃんの「た」しか知らなかった。それが正解だと思っていた。母ちゃんの「た」って、どちらかというと縦長なんです。すごく長くて、スッとしているんです、二画目が。ものすごい縦長で、都会的な美人。非常にスレンダーで、Bカップぐらいで、でも、かといってすごく長いわけじゃない。なんの話ですかね(笑)。
そうしたら、担任のヨネダ先生の「た」が、あまりにもかわいらしかったんです。今で言う誰だろう、宮崎あおい的な。わかりづらいかな(笑)。田舎風なんですよ。宮崎あおいって、そんな感じじゃないじゃないですか。でも母ちゃんの「た」は都会的。バランスの整った美人っていう感じなんですよ。
母ちゃんに、すごい「た」が現れたって言ったら、「ライバルが現れたのか、ぶっ潰す」みたいなことを言っていまして(笑)。そういうことを言うロックな母ちゃんなんです。でも、見たら、これはうまい、って母ちゃんが認めるほどうまかったんです。きれいな、見やすくて。カッコ付けていない字。そんな「た」が現れて、僕はビックリしたんですね。都会の美人と田舎の美人がいる。うちの母ちゃんとヨネダ先生がこんなに違うんだったら、隣の同級のオオツカくんは、どういう字を書くのだろうと思って見たんです。ごめん、オオツカくん、ノート見せてって、「た」を探したんですよ。そうしたらあったんですね、「た」が。それが僕の人生を変えたんです。
すべてを疑う嫌な子どもになってしまった
一画目が、ほとんどないぐらい短かかった。僕の中ではあり得ないわけです。しかも二画目も、上がほとんど出ていないんです、短い一画目から。その時点で僕は思うわけです。こんな珍獣見たことない、と。ファーブルとしては、こんな蝶のこんな羽根があったのか、みたいな(笑)。さらにビックリしたののは、二画目の上が出ていないくせに、キリンかっていうぐらい長いんです。どんだけいくのっていう。二画目だけでクラクラになって、三画目、四画目はどうなっているのだとなるじゃないですか。これが、イコールみたいに書いてあるわけです。小学生だからしょうがないんですが。
イコールが、二画目のキリンの首の根っこより下にある。落ちているんです。もうパニックです。完全に見たこともないです、そんなものは。僕は一年生にして衝撃を受けて、言いました。ちょっと待ってと、オオツカくん、これは「た」だよねと。うん、「た」だよ、と。うわ、普通に「た」と言っているみたいな、やっぱり「た」かと。でも、僕の脳もすげーと思いました。それを「た」と認識したわけですから。四画だから、類推からひらがなだろうと、そこから絞っていって。人間の脳というのはすごいんですね。これだけ違っても、ちゃんと「た」と読めるという。コンピュータだったらエラーですよね、完全に。OCRとか、完全に「た」とは読み込めないと。
その「た」があって、今度は隣の初恋の相手エリコちゃんは、どういう「た」を書いていたのかを見ると、また全然違うんです。もうパニックみたいになりました。それで、他のクラスまで回って「た」をください、と校長先生や教頭先生からも集めたんです。後に収集家になる僕ですが、初めての収集が「た」だった(笑)。そうしたらすごいことがわかったんです。全員違うということです。これに本当にビックリして。以来、僕はそこからすべてを疑う嫌なやつになっていったんです。なんでも質問する。それは違うんじゃないかという、反体制派です、小学一年生から(笑)。超うざい子供だったと思います。
例えば1たす1は2って習うじゃないですか。でも、それはあり得ないと。1たす1は2って、今、先生はおっしゃいましたけれども、左はものすごい直線じゃないですかと。まっすぐな線、まっすぐ、まっすぐ、まっすぐという、さらにイコールもまっすぐだと。それに比べて先生、隣にあるのは、ハクチョウのような美しい2です。直線どころか、ものすごい曲線からの直線。それをあなたはイコールと言い切れるのでしょうか、みたいなことを言い出すわけです。面倒臭いでしょう(笑)。いいから廊下に立ってなさいと、となるわけです。そういう子供だったんです。
実は今でも変わっていないんです。答えを探し求めているというか。だからNTTに入っても、こんなやつなので、二回ぐらい首根っこつかまれて、やめなさいと言われたんですよね(笑)。会社って、「この会議になんの意味があるんですか」って聞いただけで、怒られるじゃないですか。でも、聞いちゃうわけです。しかも、僕が楽しそうに仕事をしていたら、仕事は遊びじゃないんだと言われたりするので「遊びじゃないんですか?」って聞いたら、めちゃめちゃ怒られたりとか(笑)。これは、今でも変わらないです。金メダリストと対談しても、なんで金メダルがそんなに欲しいんですか、という質問から入ってしまったりしますから(笑)。
人間って、実はいろんなことがわかっていない
そんなふうに、ずっとちっちゃいころから変わり者で来たので、クラスでも浮くんですよ、やっぱり。中学、高校になると、物理にはまってしまって、「先生、今、ほっぺに風が当たったんですが、ほっぺに風が当たったときの分子構造を知りたいんですけど」とか言っちゃうわけです。そうすると、廊下に立っていなさい、とやっぱり言われるわけですね(笑)。でも、僕は諦めずにこういう人生を生きてきたら、不思議とご縁ができて、アメリカへ行ったときに宇宙物理学の権威の人と会うことができたりして、同じ質問をぶつけると、普通に答えてくれるんですよね。これは、すごい幸せで。僕の見た目は、ちょっとぽっちゃりとしたお兄さんというか、作務衣を着ているから書道家っぽく見えますけれど、普段は相変わらずの変わり者で、普通にGT-RのR32に乗っていたりする人なんです。
いろんな専門家と対談してわかったことがあるんですが、人間って何もわかっていないんです。だっていまだに飛行機がなぜ飛ぶかって、本当のところはわかっていないらしいですよね。もちろん、流体力学とか、分子構造とか、原子核の中身はわかっているけれど、じゃあ、その先は、というのは、まったくわからない。宇宙の始まりだって、同じです。
僕は宇宙の話をしたら、きりがないくらい好きなんです。宇宙ラブです。毎日見ているのが宇宙の写真集です。トイレに宇宙の写真集と細胞の写真集があります。いつもこの話をすると、みんなドン引きするんですが、今日は理系の人が多いので、わかってもらえるかもしれません。全国回っていますけれどね、普段はあまりしないんです。僕はたまたま中学のとき、アインシュタインとホーキンス、ホーキング、どっちだっけ、どっちかが靴のメーカーですね。どっちかが学者なんですが、どっちでしたっけ?ホーキングか、グですね、博士の本を母ちゃんから与えられて、すげーと思って、そこからアインシュタインの相対性理論にはまったんです。そこから宇宙のことばっかり考えて、分子とかばっかり考えている子どもだったんです。
それで、たまたま友達が大学受験すると言うから、俺もするのかなと思って、流れで大学受験をして、理科大の情報科学がいいと思って。情けに報いるって、超サムライっぽくてカッコいいじゃないですか。で、なにも知らないまま理科大の試験を受けると言ったら、先生に呆れられて。とても無理だ、と。でも、うちの父ちゃんは競輪の予想師なんです、有名な。今でも競輪の専門チャンネルをつけると、解説者で出ているんですが、そんな父ちゃんに試験問題のヤマを張ってもらったら本当に的中しちゃって、それで奇跡的に受かったんです(笑)。ただ、情報科学に入ってわかったことが、コンピュータにまったく興味がないということ。非常に申し訳ないですが、コンピュータにまったく僕は興味がなかった。
NTTは、「武田くんは身体が大きいから大きい会社に推薦しておくよ」と先生に言われて、ありがとうございます、みたいな感じで決まったんです。平成10年度入社なので、ちょうど大学のときがウィンドウズが来始めたころ。マウスやシステムが動き出して、まだデジタル回線になる前、ピーポロロでつないで。オッパイの画像を見るのに、どんだけかかるかって(笑)。
あ、今めちゃくちゃな話をしていますが、だんだん集約して、平均値に集約していきますから。まずはブワッとね。中から外へとどっちがいいかなと思ったんですが、創作から基本。基本、応用、創作じゃなくて、創作から。書道もそうじゃないですか、基本からいくとつまらないじゃないですか。やっぱりギターとかも、いきなりCを練習しましょうと言われるとつまらないものね。やっぱりエリック・クラプトンの、あのフレーズからいくとやりたくなるじゃないですか。そういうものから入ったほうが。あ、また、なんの話だか(笑)。
どうして仕事にモチベーションが下がるのか
NTTがどうして僕を入れたかわかりませんが、面白い時代だったんです。ちょうど電電公社からNTTになって、まだドコモも、東西にも分かれていないときで、これから電話の時代は終わる、ネットワークの時代、ITの時代が来る、今までのNTTは全部終わった、全部壊してくれ、みたいなことを当時の社長がいきなり同期2500人に言っていた。NTTではSEをやらないかと言われたんですが、「ごめんなさい、入ってからで申し訳ないんですが、コンピュータにまったく興味がないので、営業に回してください」と言ったら、営業にさせてもらって、法人営業部というところに配属になりました。
川崎一帯の中小企業を担当して回るんですが、僕は常識がないし、社長が偉い、みたいな感覚もよくわからないので、嫌われる社長には嫌われました。でも、好かれる社長には好かれるんです。気に入られると、いきなり何千万の受注が来るんです。ビックリするじゃないですか、いきなり注文が来るから。「武田、どうしたんだ、お前」って、支店長が慌てて来たりして。好かれるんですよ、一部に。熱狂的なファンがつく。今日もたぶん99人は、僕のことを変な人だなと思うけれど、一人は思っていると思います、「うわ、双雲いいわ」みたいな。それがいいんです。無理して100人中100人に好かれるのは無理ですから。そんな勇気もないですし。
NTTが変革期だったことに、僕は超ハマっちゃうんですね。いわゆるIT革命というものがなんなのかが、すごく知りたくて、産業革命から始まって。今、人類がどうなっているか、気になって。僕は宇宙物理から入っているので、生命体としての人類の革新が二次曲線的じゃないですか。産業革命からいきなり来ているじゃないですか、グラフ、有名なグラフ。ビックリするぐらいの角度じゃないですか。これがなんなのかなと思っていて。どういうふうにライフスタイルが変わって、これから人類がどう変わるのか。ビジネスに、はまっちゃってましたね。人間社会がどうやって動いて、これからどうなっていくのかって、ものすごく気になった。
NTTの研究室で一〇年後、二〇年後の商品を作っている部署に同期がけっこういたので、よく遊びに行っていました。携帯や時計型みたいなものも研究されていて、ウソーみたいな。iモードが、ちょうど出たころ。今みたいに、スマホがこんなに急激に来るとは思っていなかったですね。そんなIT革命にワクワクしていた僕の一方で、同期はどんどんモチベーションが下がっていくんです。酒を飲むと愚痴ばかり。僕はお酒が飲めないので、お酒を飲んでいる人が何を話しているのか興味を持ちました。飲みに行くと、愚痴ばかりなんですね。でも、僕にはそれも超楽しくて、どういうメカニズムで、その文句が生まれるのかをメモったりしていました(笑)。どの言葉をどの脳内で選んでいるのかな、と。
今日言いたい結論を言ってしまうと、人間って基本的に全員一緒なんです、ほぼ。システムは同じ。同じファームウエアというか、アプリを使っているようなものじゃないかと思うんですね。感情システムだって、基本的にホルモンのバランスでできているんです。自律神経のバランスでできている。みんな気持ちはわかりますよね、怒ったことがない人はいないし。例えばあなた実は二面性がありますねと、言われたら、それはみんなそうだよっていう話じゃないですか。当たり前ですよね。占い師ってずるいんですよ、全部当たるように言えるんですから。
どうしてかというと、全部同じシステムを使っているからです。遺伝子も基本的には同じで、細胞システムも一緒、自律神経システムも一緒。ということは、空しい、悲しい、悔しい、負けん気とか、基本的なシステムは一緒なんです。使っているアプリの、ちょっとソフトウエアの特徴が違ったり、マックとウィンドウズの違いはあるかもしれないですが、と言いつつも、ほぼ基本システムはまったく同じなわけですよ。例えば日本人だったら、同じ言葉を使って、だいたい同じニュースソースを見て、だいたいみんな志村けん、観たじゃないですか、この世代って志村けん世代とか。僕はキンケシ世代なのですけれどね、アデランス中野世代と言っているのですけれど、これはわかる人にしかわからないかもしれません(笑)。
つまらない人は、そう自分でプログラミングしている
なんの話でしたっけ(笑)。ちょっと話を戻しますが、NTTで僕は一番下っ端で仕事をしていたので、会社の電話を取ってメモ書きを筆ペンで書いていたりしたんです。そうしたら、武田くんって字がきれいだねって噂が噂を呼んで。そのとき初めて書道をやっていてよかったなと思いました。きれいなお姉さんにほめられたりして(笑)。ずっと怒られ続けていたので、人生が(笑)。初めてほめられたもので。そこから筆にまたはまりまして、なんとかさんお電話ですとか、無駄に筆で書いたりして。それでだんだん、名前を書くのを頼みます、なんて話が来始めて。たまたまそのとき、先輩みたいな人が、武田くんってこれで飯食えるんじゃないのって、冗談で言ったんです。そのときにパッカーンですよね、飯食える、飯食えるってなったんですね。それで独立する、書道家になる、と浮かぶんです。それまでは、NTTで超楽しんでいましたから。
よく、成功は失敗のもとと言うじゃないですか。これは真理です。科学的にひもとくと、失敗を多くしたほうがいいのか、ちっちゃい失敗を多く重ねたほうが成功するのか、でっかい失敗をドーンドーンとやったほうが成功するのか、気になるところですが、僕はその中で、最近1.01理論というのを発見しまして。今日、それを伝えに来たんです。1.01理論。超簡単です。皆さんぜひインストールしてください。この理論、自信があります。なにかというと、自分が普段やっていることが1だとします。平均値、デフォルト値の数値を1とします。
この値に対して、同じことを繰り返しているときって、ちょっと質が落ちているじゃないですか。0.99とか。一番最初に歯磨きするときより、二回目のほうがちょっとテンションが下がるし、三回目のほうが下がる。繰り返しているとテンションが下がるんですよね。だって、ワクワク度っていうのはドキドキ度と一緒だから、新しさがないと、人間ってモチベーションが上がらないんですよ。
ということは、0.99がかかっているんです、常に、歯磨き、着替え、勉強。通勤も、最初の通勤と、2年目の通勤と、10年目の通勤って、新しさがないから、どんどん0.99がかけられていく。するとどうなっていくかって、二次曲線的に落ちていきます。この落ちる先がどこかといったら、なんの感情もなくなっていくわけです、無感情になっていく。ネガともポジとも違う、微妙な感じ。朝も、最初は起きられるんです。頑張ろうよって、新人だから。でも、だいたい3年も経つとハーってなるじゃないですか。40代を超えてくると、もっとひどくなる。でも、人間は同じシステムなので、基本的には、同じ指令をすれば同じプログラミングになるんです。脳内指示なんです。僕ら日々、言葉によるプログラミングをしていて、それに準じてホルモンのバランスを整えて、日々の感情のシステムを運用しているんです。
となると、世の中にはつまらないと思って生きている人は、そうプログラミングをしているんですね。一方、毎日が楽しくてしょうがない、僕みたいにパラダイスと言っている人間もいる。これは起きてから寝るまで、超飛ばしているわけです。NTT時代からです。みんなから、お前おかしいよと言われたんですが、こっちが僕の普通なんです。どうして楽しくないことをするかがわからない。楽しくない時間は絶対嫌ですもん。勉強がつまらないと言いたくない。だから、しない。するなら楽しみますね。そういうタイプだとか、こっちの人間が特別だとか、言われることもありますが、そうじゃないんです。システムの違いじゃないんです。プログラミングの差なんです。
いつものパターンとあえて変えようとする
1.01ってどういうことか。例えば僕がなにをやっているかというと、書道でいくと一画目を書くときに、変えるんです。テレビで生放送で、「武田双雲さん、どうぞ、お願いします。カメラマンが近づきます」と来たら、普通なら1画目は打ちたいところに打ちますよね、当たり前ですけれど。いつものパターンで書きますよね。自分が得意なパターンに持っていきますよね。それをあえて、ちょっとひねるんです、筆を。見たこともないひねり方をするんです、自分で。オーイって感じなんですね、自分の脳内は。エーッてなるじゃないですか、それやめてくれ、見たことない、どうするんだよみたいなことやる。1.01だけやるんですよ。1.5だと、こいつムリムリ、2画目ムリみたいになっちゃうから。でも、こわくて恐怖心でブレーキがかからないのが1.01なんです。1.1でもブレーキがかかっちゃう。だから0.01ミリひねるんです、筆を。
これをいつもやるんです。今日も実は1.01、ずっとやっているんですよ。言ったことない話をちょこちょこしたり。マイクの距離もいつもより遠いんです。これも1.01。これだけで変わる。失敗もする。でも、小さな改善が失敗なんですね。だって、やったことないことをやることじゃないですか。これだったら誰でもできる。いつもと違うことを、ちょっとやってみる。だいたい人間は逆にいくんですよ、いつもと同じことをやっちゃうんです。でも、例えば何何様ってメールで書くときに、ちょっと様をひらがなで書いてみたりするとか、いつも、ありがとうございます、のあとに、おかげさまでうまくいっておりますと、一文付け加えるとか。これも1.01理論です。これが実は大きいんです。小さな変化なんです。
そうすると、突然とんでもないことが起きる。僕はポジティブに見えるとよく言われますが、それは性格がポジティブじゃなくて、ポジティブシステムを起動させているというだけです。実は生きているこの世界、三次元の世界は、認知システムでできているんです。自分が三次元でとらえている世界が、世界だと認識している。人生って、すぐ変わるものですよ、一瞬にして。それはどういうことかというのを実験してみましょう。皆さんに二回立ち上がってもらいます。その後に座ってもらう。このとき、一回目はネガティブシステムで、二回目はポジティブシステムで。これだけで本当に変わるんです。こういう小さな変化を例えば一年間続けたらどうなるでしょうか。毎日座るときに、ポジティブになる。人生は変わります。自分が決めているんですよ。
今日の夜、僕に騙されたと思って絶対やって欲しいことがあります。朝起きるときにアー、眠いってなるでしょう。それが普通だと思い込んでいる。だから、そうならないと、前の夜に自分に言い聞かせるんです。起きるのがつらい人は、お母さんに「起きなさい」と言われた人なんです。そうじゃなくて「あら、起きたの? コーヒー入ってるわよ」とか、「お菓子用意してるわよ」なんて、朝からお母さんの機嫌がよくて、お父さんも「朝って素敵だね」って言っている家庭に生まれたら、朝起きたくてしょうがなくなるんです。ところが、だいたい「起きなさい、早く起きないと時間よ」とか、「学校に早く行かなきゃ」なんて、起きることは義務だということになってしまう。起きるのはただの起きるという動作だったのに、それに意味付けをしていたのは僕らの環境だったりするんです。
だから起きることは楽しいということに、プログラミングを変えていく。一番簡単な方法が、楽しそうに起きることなんです。みんなイメージだけしてみてください。ハハハって起きてください。「あ、朝だ」っていう感じで。これだけの違いだったんだとわかると思います。これ、本当にシンプルです。言葉って言い方とか表情で決まるんですよ。仕事も同じ。朝も、通勤も、イメージを変えるだけでホルモンのバランスが変わるんです。
一つひとつを愛してほしい。丁寧にやってほしい
人間って、習慣システムというプログラミングがずっと作動しているんです、だから、それを止めるって、超ストレスなんです。でも、やっぱり少しずつ変えていくことが大事になる。成功のもとだから。何をするかというと、楽しそうに生きるというのが一番いいんです。なんでもいいんですが、感動風なシステムを入れていくといい。きれいだな、でもいいし、美しいなとか、楽しいなというか、いわゆるポジティブな、なにか自分が波動が気持ちよくなることを、言葉とか表情に意識していくといい。それは、そういうグループに所属して、そういう磁石の人間になっていく、ということでもあります。
三次元の世界に生きていると、原因が結果を作っているように思えちゃうんです。過去が未来を作っているように、どうしても錯覚してしまう。でも、四次元、五次元の世界に行くと、過去と未来とか、別に一本の矢印ではなくて、量子的には無数の矢印が飛んでいるんです。例えば皆さん、明日のことは、わかっているようでわかっていないじゃないですか。明日なにが起こるか。不確定要素はたくさんある。そのときに、明日をポジティブにイメージするだけで人生は変わるんです。考え方とか、言い方とか、表情とか、言葉の使い方で、こんなに人生は違ってくるのだ、ということが伝われば、今日は幸いです。
自分がどういう人生を生きたいかって、単純ですが、それは楽しいほうがいい。苦しいより楽しいほうがいいし、つまらないより面白いほうがいいし、不満が多いよりは、ありがとうが多いほうがいい。ありがたいなと言っている人のほうが幸せに決まっていますよね。それは単純で、子どもでもわかります。笑っているほうがいいし、家族とは仲悪いより仲いいほうがいい。楽しそうに会社へ行って、楽しそうに家に帰ってくるお父さんが、やっぱり増えたほうが絶対に世の中にはいいじゃないですか。
だから、自分のシステムを自分で変えられることを知って、うまく自分をコントロールして、いい意味でのプログラミングをしていくことが大事なんです。例えば今日、話を聞いて、たまたまこの中で何割かの人に響いたとして、実践してもらったら、それは一年後、10年後、全然未来は変わっていくと思っています。だって、選ぶ言葉は違っていくし、選ぶ表情も違っていくから。一つひとつ愛して欲しいんです。自分を、自分のやることを。そうすると、一つひとつ丁寧にやるようになる。書道もそうですけれど、一筆一筆丁寧に書くというのを、ずっと伝えています。うまいとか下手とかどうでもいいんです。一つひとつ味わって欲しいんです。メガネを外して、置く行動ひとつとってみても。
一つひとつをポジティブにしていく。ポジティブシンキングとは違います。本当はつらいけれど、前向きに立ち上がるんだ、みたいなのは、僕は大嫌いなんですよ。無理ですもん、そんなのは。そもそも僕の人生のもとは、毎日がパラダイスですから。もともとポジティブから発想するんです。そういう意味では一つひとつ、ちょっとずつから、ポジティブシステムを採用していって欲しいんです。そうしたら、一カ月後、一年後、一〇年後、どれだけ未来が変わっているか。楽しみにしてほしいと思います。それこそ10年後、もう一回呼んでください、このメンバーで。ビックリするぐらい変わっていると思います。
(文:上阪徹)
武田双雲たけだそううん
書道家
1975年熊本生まれ。東京理科大学卒業後、NTTに就職。約3年後に書道家として独立。NHK大河ドラマ「天地人」や世界遺産「平泉」など、数々の題字を手掛ける。講演活動やメディア出演、著書出版も多数。20…
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