高村幸治さんの講演を拝聴して

• ・講演日時：2017-12-06
• ・主催：JR東日本 東京電気システム開発工事事務所
• ・講演テーマ：部下の主体性を引き出す「骨太リーダー」の解決志向～慕われる上司は「1mmの成長」を見いだせる～

「部下を褒めたら図に乗るんじゃないの？」「厳しく接したらパワハラって言われるんじゃ･･･」「最近腫れ物に触るような感じで部下に接していることがあります」など、同じような悩みを抱える管理職は少なくありません。価値観の異なる世代とのコミュニケーションが課題となってきているのではないでしょうか。

組織育成パートナーとして講演やコンサルで活躍されている株式会社エナジーソースの高村幸治さんは、『解決志向型』のアプローチこそが部下の主体性を引き出し、部下との信頼関係の構築基盤になると語ります。

『解決志向型』と対をなすのが「問題志向型」で、従来の部下指導で使われている取り組みです。目標と現状のギャップを認識後、そのギャップの原因を追及し、改善策を立案、実行へと移していく。この流れをPDCAサイクルに当てはめて、多くの管理職の皆さんが実践しているのではないでしょうか。しかし、ここには大きなワナがあると高村講師は言います。この手法はモノやシステムに対してはとても効果的なのですが、人に対してはやる気・意欲を奪うことに繋がりかねないと言います。

『解決志向型』をプラス思考と一緒と勘違いされることがありますが、それは大きな誤解であり、気合いだけで根拠無く「できる！」と唱えるのではなく、既にできているところに焦点を当てることが大切です。目標達成率が30％しかなかったとしたら、通常は「なぜ100％じゃなかったのか？」「その原因は何か？」と追求していきます。そこで「どうやって30％を創ったのか？」と既にできているところに焦点を当て、探求していくことが重要になるのです。

「え！目標未達成なのに？」となりますが、ここがポイントなのです。30％しかできていないことを反省した部下は上司にアドバイスを仰ぎます。そして「○○という取り組みをしたらいい」「□□はしてはいけない」などとアドバイスをもらうのです。しかしこれらは部下が自らの力で編み出した手法ではなく、上司のやり方・考え方です。現状の部下の力では、せっかくのアドバイスを活かせず結果に繋げられないどころか、実行すらできない部下もいるのです。そして残念なことに、アドバイスを活かせなかった部下をみて激怒する上司もいます。これでは本末転倒です。

『解決志向型』が目指すところは「1mmの成長」なのです。部下自らの力で編み出した考え方・手法で「1mmの成長」ができるからこそ、自信になるという考え方の元、部下の主体性が生まれる関わりをしていくのです。そこで上司に求められる関わり方とは何か？一つ例を挙げると、「分からせようとする前に、分かろうとする関わり」です。上司の考えを理解させようとする前に、部下自身の考え方、行動の背景に耳を傾けていくのです。

部下を分かろうとする言動は部下の心を動かし、部下の自己開示へと繋がるのです。こうやって築き上げた上司・部下の信頼関係は、育成において大きな影響を与えていくのではないでしょうか。講演会の90分という短い時間では『解決志向型』の全てを習得することはできませんが、変化のきっかけを掴むことはできます。もし今、部下育成でお悩みがあったとしたら、『解決志向型』という考え方を取り入れてみてはいかがでしょうか。

上述したような気付きがたくさん含まれている高村講師の講演は、開始5分で参加者が笑いの渦に巻き込まれるという独特のメソッドを用いています。『楽学メソッド』という論語の「知・好・楽」の考え方をベースに構築されたアプローチ手法で、全体の6割以上が体感型ワークという「笑いと感動」で「気づきと変革」に導いていきます。短い時間でも効果抜群です。

今回のテーマは管理職に向けてでしたが、新入社員から幹部まで、職種・業種問わず、多くの企業様・団体から紹介・リピートを頂戴しているため、お薦めの講演です。

（講演依頼.com ）